電車で移動-12008/04/11

イタリアへ来て5日目、今日は電車で北イタリアのVercelliという所まで移動します。ミラノまでインターシティプラスという特急で行き、ミラノからは普通に乗り換えます。8時15分発の列車に間に合う様にホテルを出てAncona駅へ。さすがにローマの様な混雑は無いので駅のバールで出勤や通学のイタリア人に混ざって立ち食い、立ち飲みの朝食をとり、5時間近い電車の移動に備え水と昼食を買い、4日前に降り立ったホームで電車を待ちます。すると、昨日、アコメーカーで偶々見かけた二人のビジネスマン風の男性に再会して挨拶を交わしました。ほぼ時間通りにやってきた列車は、インターシティなのに最新のETR500という車両でした。先日のローマの時と反対の状態です。

電車で移動-22008/04/11

下の続きです。
予定通り、電車に乗って指定席に着いて落ち着きました。普通の旅行なら、これでガイドブックでも開いて色々計画を考えるのですが、やはりいつもと違った気持ちです。
今回のイタリア行きの目的は、アコーディオンメーカーで3ヶ月間、修理と調律を習う事です。取り敢えず、Castelfidardoでの4日間は、思ったよりうまくできた気がしますが、相手はメーカーの代表者なので、英語も通じるし、お客さん扱いですし、時間も短いので問題は少ないですが、同じ場所で長い期間、どちらかというと邪魔をする形になる訳でなので、うまくやって行けるかどうか不安です。言葉も通じない訳のわからない日本人を仕事で忙しい普通のイタリア人がどのように感じるか心配になります。最初にうまくいかなければ3ヶ月間、苦しい時を過ごさなくてはなりませんから。そんな事を考えながら、イタリア語の入門書を読んだり、自己紹介や挨拶でどう話すか考えたりしていました。

4人がけの向かい合わせの席に最初、1人でしたが、途中で二人組みの女性の親子が乗って来ました。でも最初に挨拶をしただけで全く話しませんでした。暫くして途中で下車していきました。
長距離の列車だからでしょうか、警察官が2人乗っていて、時折見回りにきました。テロ対策か、防犯なのか分かりませんが。

写真は、度々やってくる車内販売です。日本の新幹線でも昔は頻繁に来ましたが最近は回数が減りましたね。車内販売では、コーヒーや酒類、水などの飲み物や、パニーノ、サンドイッチなどの軽食を売っています。面白いのが時折、ベルを♪チンチンと二回鳴らして合図しながら来るところです。名鉄の電車内で聞く、あの音とそっくりです。でも、この車内販売のエスプレッソはインスタントコーヒーにお湯を入れるタイプです。

Vercelliへ到着2008/04/11

予定通り、終点のミラノ中央駅で下車し、トリノ行きの普通電車に乗り換えしました。ミラノ駅は13年前に初めての海外旅行へ1人で行った時に最初に見た駅で、その時の強烈な印象は今でも記憶にあります。ヨーロッパの駅など見たことも無かったので、その外観が自分の概念を超えた物であった事に驚きました。中はとてつもなく広く、引き込み式の駅も始めて見たので驚きの連続でした。駅に鳴り響く放送や、警笛の混ざった喧騒が頭の中で鳴り響いて強い記憶に残っています。その懐かしい響きの中でやってきた普通列車に乗り、目指すVercelliまで約1時間の乗車です。

2等車両しかない普通電車は、今までの特急と違い多くの人が乗って賑やかな雰囲気で、スーツケースを持って乗るのが、ちょっと場違い的な感じでした。外は雨に変わり結構降っています。最初のVercelli入りが雨なのはちょっとツイていないなぁ..と思いつつ、緊張も高まります。景色は平らで田畑しかなくて単調でした。そしてついに、Vercelli駅へ到着しホームに降りました。駅はAnconaより小さい感じです。Vercelli は国際的に有名な観光地でも無く、日本では馴染みの無い都市です。私も知りませんでした。ミラノとトリノの中間位にある所なので、イタリアと言ってもフランスやスイスに近いです。

駅構内からイタリア村のアンジェロさんに聞いている電話番号へ緊張しながら電話しました。電話したのはCooperfisaという古くからあるアコーディオンメーカーです。日本ではあまり知られていないと思います。私は、以前にフランスのシャルトルのアコフェスティバルへ行った時に、メーカーの出展があったので一応、知ってはいました。電話をすると女性が出ましたが、こちらが英語で話すと途切れて誰かを呼んでいて、違う女性にかわりました。日本から来て駅にいる事を伝えると、事前に話が通してあったようで、迎えが来るので待てという事でした。考えてみると、Anconaでもそうでしたが、初対面の人とはいえ外国でその国の人と待ち合わせるというのは新鮮な体験です。今までの旅行ではそんな経験はありませんから。

暫くして目の前にフォードのシルバーのミニバンが停まり、中から髪の短い割と若そうな人がこちらを覗き込む様に見ていたので多分この人が迎えに来てくれたのだろうと分かりました。彼は車から降りてこちらへ来て、お互いに挨拶をして握手をして車に乗り込みました。彼はCooperfisa社の社長の息子さんで、デモンストレーターでもあるロメオ君でした。アンジェロさんから少し聞いていたので大体わかっていましたが。
そのまま会社へ直行し、工場と事務所のある建物へ案内され、その時いた従業員の数名と挨拶を交わしました。工房にいたのは髭のある若い男性と、40~50歳くらいの髪の赤い女性と、めがねをかけたちょっと太めの若い女性の3人です。その場で紹介されますが、名前を覚えられず顔だけ覚えました。会社の入り口には古いアコが棚の上に天井近くまで置いてあり、ロメオ君が社の歴史だと説明してくれました。工房の中には作成中のアコが一杯並んでいました。Castelfidardoの大きなメーカーよりは小さい工場ですが、近くに別の工場があるとの事で、建物が分散しているようです。こうして無事、Vercelliへ着き、Cooperfisaとの初対面も果たす事ができました。社長は用事で月曜まで留守との事でした。
この後、私が約3ヶ月、住むことになるセミナリオへロメオ君に送ってもらいました。

セミナリオ-12008/04/11

お世話になるCooperfisaへの最初の挨拶を済ませ次に向かったのは、これから3ヶ月近くVercelliで住む場所です。住む場所ですが、セミナリオというカトリックの関係の宿舎です。私もよく分かっていませんが、カトリックの学校というか、講習会をする所のようです。セミナリオというのは、セミナーとか、ゼミナールと同じ語源という事なので。多分、利用するには何か一定の基準があり、誰でも可能という訳ではないと思います。普通のアパートの様な所の1/3程度の利用料で、少しの追加料金で食事も付くらしいので、普通に考えてそんな所があれば、色々な人が住み着く筈ですから。Cooperfisaの社長さんが私の為に話を通してくれたのだと思います。

ロメオに車でセミナリオの前まで送ってもらい、一緒に中へ入り事情を説明してくれました。暫くしてこの施設のリーダーというアルベルトさんという神父さんが現れ部屋まで案内してくれました。
セミナリオの場所は駅から徒歩3分、Cooperfisaからも15分程度なので便利な場所です。それで、まず驚くのが、カトリック関係の施設というだけあって、すぐ脇に巨大なトンガリ屋根が二つ連なった教会、反対隣には巨大なドームの教会と巨大な鐘楼があるという環境。そして入り口も立派な電動で開閉する門があり、門から15m位行くと、入り口。入り口を越えると中庭があって、回廊を通り、木のドアを開けて小さなエレベータに乗り、3階で降りて、再び回廊を進んだ先に私の部屋があるのです。
写真はセミナリオの門です。先に見えるのが入り口。

セミナリオ-22008/04/11

神父さんに部屋へ案内して頂き、部屋の中の説明を受け、鍵を渡されました。荷物を置いて部屋を出て、門や入り口の開閉方法、食堂、朝食の場所、食事の時間割りなどを説明してくれました。
部屋はきっと、狭くて薄暗くて何も無い所じゃないかと、勝手に想像していましたが、建物自体が立派なのに、かなり驚きました。今日からここに住むのか..という感じです。部屋は予想以上に良い環境でした。かなり広いです。8畳くらいの長方形の部屋にベッドとタンスと机があるだけのシンプルさ。その横には出入り口があり、4畳半くらいの部屋にシャワー、洗面所、トイレがあります。天井がかなり高く、ドーム状になっていて角の線が見えないので無限に高い様な視覚効果があります。思っていたより広すぎて、元々置いてある物も少ないので寂しい感じすらします。お湯もちゃんと出ますし、シャワーも普通に出るし、洗面台には大きな鏡まであります。下手なイタリアの安宿よりもかなり良いです。予想通り、テレビはありませんが電話があるので助かります。低速ですがこれでネット環境は確保できました。壁は無地で、絵などは掛けてありませんが、部屋のベッドの枕のある方の壁には十字架に付いたイエスキリストをかたどった物が掛けてあります。