実習開始2008/04/14

Vercelliへ来て週末が明け、月曜日。今日からアコーディオン修理の為の実習が始まりました。あいにく、今日は雨降りです。
週末、留守にしていたCooperfisaの社長さん、エミリアーナさんに会うところから始まりです。彼女はロメオの母親でもあります。欧米では普通なんでしょうけど、日本みたいに目上や年上に人に対して敬称や役職など付けずに、普通に名前で呼び合うので、最初はちょっと戸惑います。「君」とか、「さん」に相当する言葉も無く、名前呼び捨ての状態ですから。
エミリアーナさんは、優しい表情を持った方ですが、やはり社長の威厳も感じます。作業者はラフな服装ですが、エミリアーナはスーツを着ている影響もあると思います。私に対しては、まだお客さん扱いなのでしょう、にこやかに話してくれますが、時に従業員とのやりとりでは、口調が厳しい様な印象を受ける時があります。

最初に現場にいた人達にそれぞれ自己紹介をしました。金曜の夕方に少し会社へ顔を出した時に既に会っている方もいますが、今度は名前を忘れないように、その場でメモ書きしました。私が案内された部屋にいたのは、受付嬢のエリーザ、修理、組み立て担当のファブリツィオ、リラ、シモーネの3人、電気関係担当のパオロ、そしてロメオとエミリアーナの7人です。隣の建物に別の工場があり、そちらにいる人や休暇の人もいたので全員ではありません。英語ができるのはエリーザとロメオだけで、シモーネも少しだけ話すことができます。北イタリアの人、特に若い人は皆、英語を話せると思っていましたが意外にも話せない方が普通のようです。感覚的には日本人の40歳以上の人達と同じ程度か、それ以下という感じです。イタリア村のアンジェロさんは普通に英語を話すのですが、そちらの方が少数派のようです。これは今日から大変だ..Castelfidardoでは、営業系の人との接触だったので英語で済みましたが現場では、そうは行かないようです。

直接、仕事でお世話になるのは、ファブリツィオ、リラ、シモーネの3人になりそうです。ファブリツィオは40歳後半でしょうか、恐らく一番職歴が長く、このセクションでの年長者になると思います。背の高いダンディーな方です。リラは多分40歳代の女性で、先週も会っています。髪が赤色で黙っているとチョット怖そうなんですが、案外優しいです。シモーネは多分30歳前で、主に調律担当です。めがねに髭面の彼は日本にとても興味があるとの事で、私に興味津々のようです。

修理や、新品製品の組み付けを行うこの部屋の一郭に、私の場所を与えられました。自分の場所ができるのは嬉しいものです。そして、最初の仕事は..

机の上に赤いアコーディオンが運ばれてきました。どうやらこれをレストアしていく事になるようです。最初にしたのは、蛇腹の修復。といっても、穴が開いている訳ではなく、擦れてボロボロになった部分を、正常な部分も含め全て綺麗に取り去り、新しい物に取り替えるという作業です。午後から半日かかっても全ての不要部分を取り去る事はできませんでした。残った接着剤も綺麗に落とさなくてはなりません。これはなかなか地味で大変な作業ですが、蛇腹を綺麗に修復するには必要な技術という事です。やはり最初は忍耐です。
私は当初、新品のアコーディオンの組み立てを手伝いながら、修理に必要な技術を身に付けていくものだと考えていました。製造所に行く訳ですから。ところが、ここには修理部門があって、他社の製品や新旧様々なアコーディオンやバンドネオンが持ち込まれていますので、修理に特化した技術指導が受けられそうです。これはとてもありがたい。アンジェロさんがきちんと伝えてくれて、Cooperfisaも完全に理解しているという事でしょう。皆様に感謝です。

作業途中、コーヒー(もちろんエスプレッソ)を持ってきてくれたり、道具を貸してくれたり、皆さんとても親切です。ただ、最初というのもあるので、暫くして私がいる事が普通になった頃からが大事だと思います。皆さん、自分の仕事が沢山あって忙しそうなので、放置状態にならないように頑張らないといけません。コーヒーも貰うだけではいけないので、コーヒー要る?と聞かれた時に付いて行って、機械の使い方を覚えました。これでみんなにコーヒーを入れてあげる事ができます。お客さんで来た訳ではないので、気を遣います。

ちなみに、お昼休みは2時間あり、会社に食堂は無く、お弁当の人もいません。大抵、一旦帰宅して食事しているようです。私もセミナリオに戻って、いつもの様に神父さんに囲まれてランチです。戻る時はシモーネが車で送ってくれました。再び、会社へ行く時は徒歩ですが、運動には良い距離です。