スイッチ2008/05/19

今日は自分のアコーディオンの音色切り替えスイッチの取り付けを行いました。スイッチなんて新品の部品を付けるだけかと思ったら違いました。スイッチの指で押す部分は、プラスチックの四角い成型体があるだけで、印も付いていません。印を自分で付けて取り付ければいいのかと思ったらこれも間違いでした。最初に研磨作業が必要だったのです。成型されたプラスチックの部品は、良く見ると艶があまりありません。これを研磨機で磨いてピカピカにします。アコーディオンのボディーを磨くのと同じ要領ですが、小さいので意外に難しいです。高速回転する研磨機に手でつかんで研磨しますが、研磨中に機械に持って行かれて二つ駄目にしました。腕を持っていかれたら危険なのでスイッチを犠牲にしました。最初に粗研磨をした後に仕上げ研磨をします。日本の成型技術なら研磨不要で文字や印も入れて一発成型できると思いますが、大量生産しない手作りの楽器にそんな費用はかけられないのでしょう。

プラスチックの研磨と言えば、入社した時に最初に教わった作業でした。試験片を樹脂に埋め込んだ後に精密に研磨して、電子顕微鏡で観察する作業です。基本的にそれと同じなので樹脂の研磨はそれなりに経験があります。あ、そういえば今日は19日だから正式に退社してもう3日が過ぎたのか..と思い出しました。5月16日までは余っていた有給休暇を使っていたのです。そして今、入社して教わった時と同じ気持ちでまた、新しいことを教えてもらっています。今度は顕微鏡の試料ではありませんが..

研磨は意外と時間がかかり、午前中一杯かかってしまいました。数がそれなりにあるので。午後は、線が二本だけ書いてあるスイッチにリードの状態を表示した印を付けました。穴を開けて、仕上げをした後に、ラッカーを刺青の様に窪みに入れます。乾燥後に、はみ出た部分を取り除いて出来上がり。その後、スイッチの機構部を楽器に取り付け、調整を行いました。組み付けと調整がアコーディオン製作の基本です。