Cavagnolo のひみつ2012/03/10

Cavagnolo、日本ではキャバニョロと呼ばれているアコーディオンの調律を行っています。
cobaさんが使っている事で日本でも有名になりました。

そのキャバニョロですが、独特の派手というか硬質なサウンドに特徴があります。
その音が気に入ってキャバニョロをお持ちの方も多いと思います。
cobaさんの演奏を聴いて、調律で意図的にピッチをずらしたリードのずらし量を多くして、
派手なトレモロの音で演奏していると考えている人もいるようですが、
実はそんなにずれた調律にはしてありません。
派手な音に聴こえるのは調律ではなくて、キャバニョロ特有のサウンドなのです。


そのキャバニョロサウンドのヒミツは、リードの固定方法にあります。
上の写真はキャバニョロのリードですが、木枠に薄いコルクを敷いた上にリードを載せ、
細い釘で打ちつけて固定しています。
これにより、リードが発する振動の多くを木枠へ伝え、音として増幅しています。

実は、このリードの固定方法、フレンチタイプのボタン式では普通に行われています。
Cavagnolo社は元々フランスのボタン式アコーディオンメーカーですので、その作りを
そのまま鍵盤式でも採用したという自然な流れですね。
鍵盤式ではこのような方法で作られたアコーディオンは少ないので珍重されている訳です。
なので、キャバニョロ特有のサウンドというより、フレンチタイプのボタン式アコの
サウンドと言い換える事もできます。
もちろん、アコーディオンの音はリードの留め方以外にも色々な要素で決定しますので、
ボタン式アコ=キャバニョロの音と言うように、完全に一致する訳ではありません。
大雑把な音の特徴として、釘留めリードの音はキャバニョロやフレンチボタンアコの
音と言えますよ..という感じです。


これは一般的なアコーディオンのリードですが、溶かしたロウで固定しています。
この方法だと、リードから出た振動の一部は減衰して木枠へ伝わります。
結果として釘留めのアコーディオンより柔らかい音となります。
殆どの鍵盤式アコーディオンや、インターナショナルというタイプのボタン式は
この方法で作られています。

ところで、
キャバニョロを使わずして鍵盤式で釘留めリードの音を楽しむ方法があります。
当店で取り扱っているイタリアCooperfisa社のアコーディオンでは、
全ての機種でリードの固定方法を選択する事ができます。
つまり、低価格な機種や小型のモデルでもキャバニョロ風の音が実現します。
逆に、フレンチボタンアコでロウ留めリードという柔らかい音の楽器を作る事もできます。