タイムスリップ アコーディオン2012/03/13

製造から40年は経っていると思われるアコーディオンのメンテナンスを承りました。
有名なEXCELSIORです。
ロゴの形状からかなり古い物と分かります。

この楽器、知り合いからタダで譲り受けた物との事。
そして、その知り合いも、持ち主から譲り受けたとの事ですが、
アコーディオンは弾かないので暫く放置状態だったらしいです。
それで、驚くのがこの楽器の外観の綺麗さです。
ボディーに傷は無いですし、鍵盤の変色もなし。
メッキ部分もピカピカで腐食も傷も無し。

大抵、メッキが剥げたり、傷が入ったり、ヨレヨレになっている
金属製の蛇腹留めですが、ご覧の通り、ピッカピカ。
この写真ですが、特に磨いたり清掃はしていない状態です。
蛇腹の表面も本当に綺麗です。


鍵盤も深くなっていませんし、高さも揃っています。


劣化するバルブのフェルト、皮の部分ですが、虫食いも無く綺麗です。
空気漏れもありません。
本当に不思議なのですが、古い楽器特有の鍵盤を離した後のパタパタ音も
新品と遜色ない静かさです。

幾ら外観が綺麗でも中身はそうは行かないだろうと言う事で中身も点検。
外観が綺麗なのは弾いていない証拠です。
使われていなかった楽器は傷みが激しいものですが..

不思議です。
サブタ皮の反りも少しありますが、大した事もなく、
リードの錆も見られません。
これは、過去からタイムスリップして来たアコーディオンでは?


必死にあら捜しをすると、蛇腹の内側にちょっとだけカビが出ていました。
でも、本当にちょっと。


結局、一部のサブタ皮の修正と調律だけで済むという結論です。
修理を始めるとリードの錆が見つかりました。
でも、本当に数箇所だけでした。
どう考えても不思議なので、やっぱりタイムスリップ説が正しいかも知れません。
でなければ、完全密封容器に入れて真空にして保存していたとか..


外観は新品のようですが、古い楽器の特徴がありました。
ベースボタンですが、Cの部分には飾り石が入れてあります。
そこから4つ先のEですが、何の印もありません。
反対側のA♭も同様です。
このままでは弾き難いので印を付ける加工を行いました。

それにしても、綺麗過ぎるこのアコーディオンは謎の存在です。