10年でも御用心2012/05/19

新品で購入し、10年経過したアコーディオンの調律を承りました。
ちなみに、持ち主は私の知人で、アコーディオンのメーカーは
日本でも有名なイタリアの楽器です。

10年経過で、途中、あまり使っていない時期があったという事で、
サブタの反りは殆ど出ていません。
皮製ではないというのも理由の一つでしょう。


高級なリードにはメーカーの名前が刻印されています。
アコーディオンメーカーとリードメーカーは別の場合が殆どです。


この楽器、不思議な事にリードメーカー2社の物が混ざっています。
部分的に交換したという風ではないので、偶々でしょうか。


Hリードのロウ接着がイマイチな部分を発見。
リードフレームと木枠に僅かな隙間がある部分も。

こちらもロウに亀裂があります。

ロウ不足で隙間がある部分も。


と、点検しているうちに発見したのがこれ。
リードフレームの4辺あるうちの1辺に全くロウが付いていません。
施工忘れですね。
調律のご依頼ですが、調律に囚われずに広い視点で点検すると
細かいエラーが色々と見つかります。


リードにちょっとだけ錆が出ているのを見つけました。
かなり軽症なので、よく確認しないと分かりません。

リードを留めているリベット部分が錆びていますが、
こういう状態のリードは、リード本体にも錆が出ている場合があります。
リードの錆を疑う時の一つの目安にしていますが、
ここが錆びていてもリード本体は全く問題ない時もありますので、
参考程度です。


今回は的中です。
かなり広い範囲の錆が出ています。


ベースリードの方にも広く錆びたリードがありました。
幸い、錆が出ているリードは数本程度でした。
出ていないリードは兆候すらありません。
ですが、10年程度の新品でも安心できないという事ですね。


更に不具合を発見。
木枠の内側にあるリードが木枠の壁に接触しています。
当然、音はおかしな事になっています。
製造時からのものでしょう。
この音を弾かないとずっと気付かないままという事です。
アコーディオンは非常に多くの部品の集合体で、
手作りでできていますので、細かな不具合は多かれ少なかれ
存在しています。
これは、一流メーカーの物でも同じ事です。