鸚鵡の修理2013/10/21

鸚鵡(おうむ)の修理が来ました。
と言っても鳥ではなくてPARROTという中国のブランドの物です。

オウムのマークが付いていますが、TOMBOのロゴもあります。
トンボが輸入代理をしていた事があったという事ですね。

ベースボタンに不具合があるという事ですが、
原因はメカニックのズレでした。
ベースのバルブに繋がる板状の部品とベースメカニックから延長する
押し棒にズレがあり、場合によっては反れて戻らなくなります。


古い楽器ですのでリードバルブ(さぶた皮)が硬化して
交換時期にきています。


リードにも錆が出ています。
楽器としてきちんと動作させるには、リードバルブの全交換と、
リードの錆除去、調律が必要になります。


ボディーのベース側にヒビ割れがありました。


調べると内部に到達するほどの割れでした。
気密を保っている箇所ではありませんので、空気漏れの
心配はありませんが、このままでは楽器としての響きが悪くなります。


ベースのベルトも手が当たる部分がボロボロです。
このままでは演奏すると手の甲が摺れて赤くなります。


右手のグリルカバー内には鍵盤のバルブが並んでいます。
幸い、ここには問題ありません。
時期的にはそろそろバルブ材の交換時期ですが..
バルブの空いたスペースに金属の妙な形の部品があります。
これは鍵盤のバネを取り外す為のツールです。
ネジ2つを緩めてこのツールを取り外して使います。
このツールがある楽器は、イタリアのSettimio Soprani や、
Scandalli の古い低価格な楽器に見られます。
この楽器はその構造をコピーしているのでしょう。


ベースメカニックは、メカニックの両側にある金属のツメを外側に外すだけで
ボタンも含め全て簡単に取り外す事ができます。
これも古いSettimio Soprani と同じ構造です。


こんな感じであっと言う間に分解できます。
メンテナンスは楽ですが、この構造の楽器はベースボタンの
押した時の感触、バネ加重の変化の仕方など、
操作感に劣る部分があります。
低価格な中国やドイツ製の物では今でも使われています。
古いSettimio Soprani や、HOHNERの低価格機種でも
一部に使われていました。