ダイアトニック修理2014/04/13

HOHNERのダイアトニックアコーディオンの修理を承りました。
1箇所、ボタンの戻りが無くなり音が出たままという症状です。
ボタンは動きますがバネで戻らず、フリーの状態です。
古い楽器ではありません。


ボタンのトップを取り外してグリルカバーを外したところです。
ボタンの下段、左から4番目が該当の箇所です。
バルブの上段、左から4番目が開いた状態になっています。
バルブの作りがHOHNERのダイアトニックではないNovaやBravoとそっくりです。


ボタン周囲のパネルを外すと原因が分かりました。
ボタンを元に戻すバネが折れています。
写真の中央が該当箇所です。
バネのコイル部分は残っていますが腕の部分はありません。

たった一つのバネを交換するために、全てのバルブを外す事になりました。
バネは一つの軸に全てが貫通しており、その軸を抜く為の穴が
楽器のケースには付いていないので取り外して引き抜くしかありません。


ボタンの軸受けとバネは一つの軸で貫通しているので、
該当箇所まで軸を抜いて部品を外す必要があります。
バネ一つ交換するのも手間がかかります。


折れたバネです。
折れた腕の部分も見つかりました。
材料中の欠陥が原因でした。
材料中の空隙か金属の粗大結晶、粒界異物が原因と思いますが、
判定には断面研磨と顕微鏡観察が必要です。
設計通りであれば過酷使用による破断はありません。


バネを交換して元に戻して行く途中で不具合を発見しました。
バルブのアームの根元とボタン周囲のパネルが干渉しています。
幾つかのバルブでボタンを押した際にアームの根元がパネルの端にぶつかって
ノイズが出ています。
これではバルブも全開になりません。


パネルを外すと干渉している場所にハッキリと傷跡が出ています。
干渉が出ないように修理しました。


更に不具合がありました。
ボタンの軸がパネルと干渉しています。
ボタンを離した際にぶつかってノイズが出ますし、押した際に摩擦抵抗を感じます。
これも修理しました。
ご依頼の修理を行う事は勿論ですが、隠れた不具合をなくす事も重要な作業です。

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