FB調律2014/07/04

FBは、フリーベースの事です。
通常のアコーディオンは1オクターブ分の単音とボタン一つで和音が出る
ボタンを装備していますが、フリーベースはアコーディオンの左手側のボタンが、
全て単音で演奏できる楽器です。
中古で販売する為のフリーベースアコーディオンの整備をしています。


これがフリーベースのベースリードです。
この楽器は58音の音域でオクターブ違いの2音を同時に出せますので、
リードの数は58×2×2=232 のリードがあります。
通常のアコーディオンは多い物で、12×5×2=120 のリードが入っています。
フリーベースのベース側の調律は数が多くて大変ですが、
楽器に格納した状態での調律変化が大きいので修正の調律の
手間がかなり大変なものになります。
このベースリードを見ただけで頂上が全く見えない山に登る気分になりますが、
最近は少し見慣れてきました。


音域が広いのでリードの長さも通常の楽器より大変長いです。
蛇腹部分の空間をギリギリまで使った高さがある事が分かるでしょうか?
これに蛇腹部分を被せても頭が少し出る程です。
右手側のリードとぶつからないところまでが格納できるリードの長さの限界です。
写真は二階建ての様にリードが上下にありますが、これは
裏側にもっと長いリードがある為です。
空間の有効利用の為、巨大リードの裏側は二階建てになっています。
さて、これから調律です。
千里の道も..という感じです。

出勤前ツーリング2014/07/05

今日は土曜日なので、勿論、仕事があります。


ですが、朝から暫く乗っていないバイクを出してきました。
最後に乗ったのは1ヶ月前ですね..
http://accordion.asablo.jp/blog/2014/05/29/7475486



1ヶ月ぶりに始動しましたが、一発始動です。
購入して22年になりますが、意外に調子が良いです。


出発してすぐに岡崎インターから高速道路へ。
そして、すぐ休憩..
お気に入りのアドマイヤーでコーヒータイム。


上郷サービスエリアです。
9時過ぎですが暑いです。

名古屋インターで高速道路を降りて暫くして目的地へ到着。
短いツーリングの目的は、車検です。
このところ、安いので購入したレッドバロンで車検を通していましたが、
22年目という事で正規ディーラーへ持ってきました。
シャフトドライブなのでギアオイルの交換やフラットツインのタペット調整、
キャブの同調など特殊な整備を車検と同時に行ってもらえます。
今回はタイヤも交換する予定です。
乗っていないのでそんなに減っていませんが古いタイヤは危険ですので。

という訳で、出勤前の短いツーリングでした。
この後、植田駅までディーラーの人に送っていただき、
地下鉄でmonte accordion まで出勤しました。

歯医者ではありませんが..2014/07/05

プロ奏者の方から修理を承りました。
日本では見た事のないブランドですが、イタリア製と思います。


不具合はベースの切り替えスイッチです。
切り替わりがうまく行っていません。

切り替えで作動するシャッター部分に問題があるので、
分解清掃を行う事にしました。
ご依頼の内容はこれ以外に全体の調律です。


楽器を見てあれ?っと思いました。
右スイッチの高さが低過ぎる感じがします。
グリルカバーの変形も一因と思います。


カバーを外すとネジが一つ落ちていました。
スイッチの台を固定しているネジです。


スイッチを外すと台座の木が割れていました。
ネジが取れた原因はこれですね。


他にも、ベース部分にある4つの脚が一つなくなっていて
楽器を置いた時の安定が悪くなっていたり..


何より最も重大な不具合が、盛大な空気漏れでした。
その原因は意外な事に、ボディーの木の接着シールが劣化している事でした。
継ぎ目の接着剤がボロボロになっています。


継ぎ目の拡大です。
全然古くない楽器ですが、使われたシール材が悪かったのでしょう。
珍しいケースです。

歯医者に行くと自分が治したい部分以外に色々と悪い箇所を指摘されて
完治までに長く通院する事がよくありますが、修理していると同じような事があります。
気付いていないところで大きな不具合がある事もありますので、
点検を兼ねて定期的な調律を行うと良いでしょう。

身近なフリーベース修理2014/07/07

中古で販売するフリーベース機の調律を行っていますが、
新たなフリーベースの修理です。
フリーベースは縁遠いかと思っていましたが、身近なところで
monte accordionでレッスンをしていただいているアンジェロさんからの緊急依頼です。

超々複雑なフリーベースメカニックの不具合です。
幾つかのボタンで、強めに押すとカチカチと異音が出るというものです。
フリーベースに切り替えた時にしか起きないという事です。

フリーベースのメカニックです。
以前に2回、完全バラシと再建を行ったので前ほど恐怖を感じませんが、
やっぱりあまり触りたくないところです。
幸い、不具合の原因はすぐに分かり、深いところまで分解せずに済みました。

破壊ビンテージ2014/07/08

プロのキーボード奏者の方から古いアコーディオンの修理を承りました。


RAVENNA と書かれていますが、メーカー名なのか、モデル名なのか、
作られた場所なのか分かりません。
形からすると70年以上前の物のように見えます。


修理の内容ですが、落下による楽器の破壊の修復です。
ご覧のように、ベース部分の角の所が大きく割れています。
空気漏れも激しく起きていますので深くまで破壊している事が想像できます。


破壊の影響でベースボタンは全て落ちています。

ベースメカニックですが、かなりダメージがありそうです。
恐らく、ボタンの支柱も変形しているでしょう。
古い楽器の為、メカニックが現在の物と違う構造です。
以前に修理したバヤンに似ていますが経験の無いメカニックで
ここまでやられていると復帰は困難が予想されます。


内側から見ても割れの程度はかなりある事が分かります。


ベース側の大きく割れている方と対角にある蛇腹との勘合部ですが、
圧縮による歪みと破壊があります。
大きく割れている方より直すのは難しそうです。


一見、問題が無さそうな右手側のボディーですが、内側から見ると
影響は出ています。


取り敢えず、ベースボタンが並んでいるところのパネルを外してみました。
落下の衝撃でネジが曲がっています。


ボタン側のパネルを外すとサイド部分のパネルが取れてしまいました。
これはかなり大変な修復になりそうです。


ベースのリードですが、見た目は問題なさそうです。
古い楽器の割りにサブタ皮や押さえバネに反りが無いので
過去に修復を受けているのでしょう。


右のリードもダメージは無さそうです。
やはり、バルブやバネは交換されているようですが、
それなりに古いので、反りが出てきたら交換時期かも知れません。
右手側はリードを接着しているロウの劣化が少し気になります。


蛇腹のパッキンは交換時期ですね。
今は本体が割れていて気密が全くありませんので、
他に空気漏れの原因があってもそれを知る事ができません。
本体が直った時に色々と問題が新たになる可能性はあります。


鍵盤のバルブですが、本来ならバルブ材の交換時期です。
取り敢えず、全体の修理費用が大きくなるので、こちらは見送りです。
今の状態では離鍵時の音が大きく、鍵盤高さが不揃いでストロークも深いです。
バルブ材を交換すれば全て解決します。


美しいグリルカバーですが、多分オリジナルの布が古くなって剥がれかけています。
こういう部分も交換すると見違えるようになります。

さて、かなり修理が困難そうな楽器ですが、どこまで修復できるかちょっと不安です。
落下&超古いですので..