コンサーティナ修理2014/11/22

珍しくコンサーティナの修理を承りました。


押し引き異音の本格的な物のようです。
コンサーティナの物については詳しく知りませんので何とも言えませんが..
取り敢えず、点検です。


蓋を開けてみるとアコーディオン用のリードを用いていない物なので
それなりにきちんとした楽器かと思います。
リードは少し錆が出ている感じがあります。
あみだくじみたいな隔壁の上に革製のパッキンが貼ってありますが、
交換時期と思います。
実際、この楽器は空気漏れがかなりあり何もボタンを押さなくても簡単に
蛇腹の開閉ができてしまいます。
元々アコーディオンと比べると容積が少ない蛇腹ですので、
演奏するとすぐに蛇腹を使い切ってしまいます。



反対側の蓋を開けると、こちらには黒いスポンジゴムのパッキンが貼ってありました。
恐らく革製のパッキンがオリジナルでこちらは後で貼り替えたものでしょう。
今までに何らかの修理を受けている楽器という事ですね。



新しく貼り替えしたと思われるパッキンは良く見ると隙間だらけです。
空気漏れの一因と思います。



これは空気ボタンのバルブを拡大したところですが、
右端に下穴の周囲が出てしまっています。
全体に左に寄ってしまったのだと思います。
ここからも無駄な空気が消費されています。



空気ボタンを外してみました。
中心がずれているのが分かります。



こちらはボタンを押すと開くバルブですが、一番手前のバルブは
最初から少し開いています。
バルブ周辺が狭いのでどこかが干渉しているようです。
ここからも空気が漏れます。
バルブからの空気漏れは酷い時には音が出てしまいます。
この楽器はその他の原因で空気漏れが大きいので内圧が大きくならない為、
この程度のバルブ開度では音が出ていないのだと思います。
その他の部分を修理して空気漏れが減ると、こういう部分が問題になってきます。
空気漏れも含めて全体に傷んでいる楽器は一部を直すと
別の問題が出てくる場合がよくあります。
古い楽器は思った以上の修理費が掛かる場合があるので中古を購入する場合は
その辺りのリスクを考えておく必要があります。



こちらのバルブは空気ボタンのバルブと同じで、位置がずれています。
やはり音漏れの原因になりますが、前述の理由で音は出ていません。



一箇所、ガムテープでバルブの穴が塞がれていました。
バルブの問題で音が出たままになっているのでしょう。
あまり使わない音だから塞いで対処しました..というところでしょうか。



ボタンのバネの一箇所がオリジナルではありません。
オリジナルは真鍮の様な色ですが、交換された所は銅の様な色で線径も細いです。
その為、バネの力が弱くバルブを押える力も弱いので空気漏れを起こしています。
色々な修理跡が見られますがあまり良い対処はされていないと思います。



リードの位置がずれて穴が出来ています。
これはリードの部分ですので、バルブが閉じていれば空気漏れになりません。
ですが、この部分の音を出す時は横から空気が漏れますので
リードへの空気量は減りますし、余分に空気を消費します。
コンサーティナのリードは少しきつめに作ったリード穴へリードをスライドして
嵌め込むような構造で、他に留めるための処置がありません。
なので、振動でリードがずれたり、穴が緩むとずれが出る事があります。
ずれれば空気漏れしますし、リードの振動も楽器に伝わらずにロスします。



リードバルブに少し反りが出ています。
ノイズの原因になったり、調律のずれが出ます。
リードの僅かな錆やリードバルブの反りで全体に調律がずれています。
また、リードの調整が悪く、音が出にくい箇所もあります。
と、言う訳で、この楽器は修理項目が多くなりそうです。