鍵盤の不具合修理2015/07/11

イタリア製の古いアコーディオンの修理を承りました。
EXCELSIORの物で、はるばる北海道からのご依頼です。
不具合は、鍵盤の操作不能箇所と鍵盤の脱落です。
先日も鍵盤の修理をしたところですが、酷使される箇所ですので修理も多いです。



一つだけ鍵盤の色が違う箇所があり、操作した感じがおかしかったので
隣の鍵盤を外してみると..
???、元々存在しない部品がありました。



白鍵の下にコイルバネがあります。
バネの根元は楽器のケースに接着されており、
反対側は伸びたバネ材の端が鍵盤の下に付いています。
どうやらこの鍵盤はこのバネで元の位置にもどしているようです。



これは他の鍵盤のバネ部分です。
ある程度、価格が高い楽器にはこのような、くの字型のバネが使われています。
殆どのアコーディオンはこのタイプです。
このバネは鍵盤を押していっても大きな圧力変化が無いので、操作感が良いです。
コイル状のバネは押して行くと段々とバネ圧が上がるので
昔の安いパソコンのキーボードみたいな感触になります。
低価格な楽器で、鍵盤の軸が無くて独立して取り外せるタイプに使われています。
ですが、バネは通常、支点付近にあり、引っ張りの向きで使われます。
この楽器の修理箇所は車のサスペンションのように
圧縮で使われているので面白いですね。



この補修箇所の鍵盤には日付とサインが鉛筆で書かれていました。
 ※頭文字以外は画像処理で消してあります。
H.Oさんという事ですが、この補修をした人かどうかは確定できません。
バネを正しい物に交換し動作に問題は無くなりました。



次に操作できない箇所、つまり、押せないという事ですが..
同じ様に問題箇所の隣から覗くと、
鍵盤の下に四角い木があって邪魔をしているようです。



鍵盤を取り外してみると、奇妙な形の木片が出てきました。
これが鍵盤の下に当たって押す事ができなかったという事です。
でも、この木片、どうやって見ても内部から外れた部品ではありません。
しかも割りと大きいです。
何か分かりませんが、何かの拍子に鍵盤下に入ってしまったという事でしょうか?



脱落した鍵盤は中心材のアルミニウムと木部の接着が取れただけでした。



鍵盤の先にあるバルブを見ると、色が違う箇所があります。
皮の劣化で交換したようですが、通常は交換は全部一度にやります。



鍵盤の問題は全てなくなりました。
コイルバネが入っていたところは鍵盤を入れ替えたらしく、色が違っています。
この後、調律も行う予定です。



EXCELSIORのロゴですが、いつもと違うな..と思ってよく見ると、
樹脂を切り抜いて(削って)作った物でした。
これは大変そうな作業です。
H.Oさんの技でしょうか?


7月の10月祭り2015/07/12

7月になり名古屋も暑い日が続きます。
夏と言えばビールですが..
ドイツで10月に行われているビールのお祭り、オクトーバーフェストが
名古屋の繁華街 栄で行われているという事で行ってみました。


テレビ塔の見える久屋大通公園へ行くと大きなテントが幾つもあり
お祭りらしくなっていました。
日曜の夜はちょっと空いているかな?と思いましたが、結構な人で賑わっていました。



とても沢山の銘柄が出店していて迷いますが、
何となくアルコブロイという銘柄に決めました。
こんな風に派手に飾りつけされた仮設店舗が並んでいて、
ちょっと海外にでも来たような感じです。



グラス代+ビール代を支払うと、趣きのあるサーバーからグラスに注いでもらえます。
後でグラスを返すとグラス代が返金されるというシステム。



という訳で、アルコブロイのヴァイスヘルという、ヴァイツェンを頂きました。
苦味が少なくて風味が良いのでヴァイツェンは私のお気に入りです。
以前はビールは苦手でしたが、10年以上前に2週間ドイツへ行った時に
折角だからと、毎日飲んでいたら飲めるようになりました。



ビールと共に、ソーセージ、プレッツェル、ザワークラウトも頂きました。
ミュンヘンのビヤホールに行った時の事を思い出します..



会場ではバンドの演奏もしています。
ドイツから呼んでいるらしく、見た目、音、共にお祭りを楽しめます。



アコーディオンもいました!
ですが、残念なことにデジタルアコーディオンでした。
事情があるとは思いますが、やはりここはリアルアコーディオンが欲しい!



意外にも日本人と思えない位、盛り上がっています。
案外、変な風な酔い方をしている人は居なくて
知らない人同士、会場全体で楽しく盛り上がっている感じでした。
少しだけドイツの雰囲気が味わえて楽しい催しと思いました。
ビールの種類は凄く沢山ありましたが私はアルコールは強くなく、
1杯しか飲めず、色々試せないのが残念なところです。
経済的ではありますが..


青白アコーディオン 再入荷2015/07/17

以前にも入荷したイタリア製の綺麗なアコーディオンが再入荷しました。


Giustozzi というイタリアの小さな会社の物です。
良い物を良心的な価格で生産しているメーカーです。
今回の楽器は以前からダブルチャンバー仕様で入れている
96ベースの37鍵盤 MMML で、白いボディーに装飾の入った物の
チャンバーが無いタイプです。



メーカーロゴは金の縁取りに青塗りの筆記体で、ラインストーンの装飾が入ります。
ボディーが白いので金色やラインストーンが派手に見えず上品です。



パール鍵盤に青い黒鍵、スイッチも青です。



グリルカバーにも金のラインと青いラインストーンの装飾があります。
MMMLのリードセットですが、HMML仕様で作製する事も可能です。
リードは高級ハンドメイドタイプです。

ハンドメイドを入れてセールスポイントにしているのを時々見かけますが、
ハンドメイドとハンドメイドタイプは上下関係にありません。
どちらも同じ位の高精度でできており、性能の差は殆どありません。
部品としての価格は少しハンドメイドが高いですが大きくは変わりません。
音の質に違いがあるので楽器の方向性や使う人の好みで決めるべきものです。
なので、ハンドメイドリードは楽器を売るための宣伝文句には使えません。
100万円を軽く越える金額の高級楽器で、以前はcobaさんもステージて使っていた
Cavagnolo にはハンドメイドタイプが使われています。
勿論、コストダウンではなくて目的に合うからです。
誤解の元なので、リードメーカーも違う呼び名を考えた方がいいのではないか、
と私は思います。
リードの種類の違いよりも、ちゃんと調整してあるか?の方が、
ずっと重要なポイントですし、結果も大きく違ってきます。



ベース部側は、やはり青いスイッチと控えめな装飾が少し。
ベースボタンのC、E、A♭の位置には青いラインストーンが入っています。



蛇腹の中は青のグラデーションになっています。
装飾入りの楽器ですが、全体の色を白と青に統一し、過度な装飾が無いので
日本人好みかも知れません。
チャンバーが無いので価格も重さも控えめです。
一般的なイタリアメーカーの装飾無しの楽器と同じか、それ以下の価格で購入できます。


バンドネオンの調律2015/07/22

プロ奏者の方からバンドネオンの調律を承りました。


バンドネオンで有名な Alfred Arnold の物です。
メーカーに関わらず、バンドネオンが来る時は古い場合が多いです。



蓋を開けると使った分だけの埃が堆積しています。
バンドネオンは大きな空気バルブで大量の空気を出し入れする場合が多いので
アコーディオンより埃の侵入が多いのかも知れません。



Alfred Arnold のAAマークがスタンプされています。



こちらのスタンプは販売店の物と思います。
1995年12月にブエノスアイレス整備された中古でしょうか?
日付表記の順番から日本で書かれた物でない事が分かります。

スタンプの上には手書きのサインがあります。
2006年8月18日 K.....というサインです。(画像処理で一部を消しています)
日付表記の順番から日本で書かれたものでしょう。
日本で整備された日付なのか、購入した時の日付なのかは不明です。



古いのは勿論ですが、応急的な修理が目立ちます。
リードやボタンが取り付けてある板には端から端までの長い亀裂があり、
セロハンテープで補修されています。



バルブの下の所にある亀裂には布ガムテープが貼ってある箇所も..



リードバルブは古くなっており、硬化と反りが出ています。
ここまでの状態になると全て交換する必要があります。



その時々で交換補修されたらしく、色々な皮がバラバラに使われています。
左端の黄色い皮はアコーディオン用の物で補修したものと思います。
反りを取る為に表面に切れ込みを入れた箇所もありますが
応急処置程度にしかなりません。
古い皮の上には透明な樹脂の薄い板が貼ってあり、反りを抑制しています。
これらはいかにも日本で補修された感じがします。
この補修をして反りによる雑音が取れても発音は悪くなるので意味がありません。



皮以外にも薄いフィルム状のリードバルブも貼られています。



リードバルブを全て取り去る作業を行いました。
薄いフィルム状のリードバルブは、表が艶のある黒で
裏が艶の無い茶色です。



以前にもアコーディオンの補修で見た事がありますが、
このフィルム状の物は磁性体が塗布されたフィルムです。
ご覧の様に磁石に付きます。
磁気テープほど薄くないので恐らく、フロッピーディスクを切った物でしょう。
やはり、これらは日本に来てからの処置の様な気がします。
名器Alfred Arnoldも、セロハンテープやフロッピーディスクの補修では台無しです。



このバンドネオンはかなりの回数の調律をしているか、
調律に不慣れな人が調律を行ったか、大きく音程を動かす調律をした物です。
何故ならリードが極端に薄くなっている箇所が多数あるからです。
調律はリードを削って行いますので過度に削ると薄くなります。
一般的な範囲の調律で上手に行えば数十回程度の調律で
リードが問題になる程の消耗をする事はありません。

上の写真のリードは先端が薄くなって一部、穴が空いて光が通っています。
先端が薄いリードが多いので全体のピッチを高くする作業を行ったようです。
この楽器はA=442Hzになっている感じですので、恐らく
製造時にA=440Hz以下だったものを日本の基準の442Hzへ上げたのだと思います。
ですが、一度だけ2Hz程度上げてもここまで薄くはならないと思います。

ここまで薄いと調律を行うのが難しくなりますし、音にも影響が出ます。
バンドネオンはアコーディオンと違い、一枚の板に多数のリードが載っているので
部分的に交換するのは大変な手間です。
大きくピッチが下がっている箇所も多数あり、
リードが折れかかっている可能性もあります。
ですが、多くのリードを交換するのは時間も費用も掛かりますので、
取り敢えず、調律で頑張ってみるしか無さそうです。



バジリコ2015/07/26

少し前にレッスンに来ていただいているお客様からバジルの苗を頂きました。
店の前にある鉢植えの花が終わってしまったタイミングで頂いたので
家に持って帰らずに店先に植えました。



虫害にも会わずとても元気に育ってくれました。
バジルが育つと今までに無い事が起きました。
この鉢植えはモンテアコーディオンが始まってからずっとあり、
今までに色々な花を植えてきましたが、反応する人は殆どいませんでした。
ところが、バジルが育ってからは何人もの人が 「あ、バジル!」 と言うのです。
意外にもバジルと気付く人が多くてちょっとビックリですが、
やはり、花より団子という事でしょうか。



家で育っていれば料理に使うのですが、取り敢えず、店での活用方法として試しました。
濃厚な野菜ジュースに刻んで入れてみるとそれだけで印象が全然違います。
野菜ジュースが冷製スープのガスパチョになった様な感じがします。
暑い時期には良いかも?