両鍵盤2の修復2015/08/19

珍しい左手側も鍵盤になった古いアコーディオンの修理を承りました。
過去にも1台行い、同じ型の2台目です。



右手側のリードバルブを全て交換しました。
リードバルブは薄い皮(革)の短冊状の部品で、
古くなると反りや硬化により交換が必要となります。
同じく皮革でできた蛇腹と本体の合わせ目のパッキンも
交換するため、綺麗に剥がしました。



剥がした古い皮です。
この楽器は41鍵盤でMMMLと、4セットのリードがあるので数が多いです。
アコーディオンでは蛇腹の押し引きで空気の流れの方向が変わる為、
リードも表裏で1対になっています。
リードバルブも1対なので音域の数の倍あります。



右手側のリードの修復が終わったので、本体側の修復を行ないます。



リードを取り外した状態の右側本体です。
鍵盤を押すとバルブが開いて空気が通る場所に穴が空いています。
四角の穴はスイッチ操作で開閉する機構が付いていて、
この楽器の場合、MMMとMMMLの切り替えを交互に行ないます。



鍵盤裏側にある音色の切り替え機構です。
スイッチは右手の手の平で押すパームスイッチタイプです。
押す度に交互にMMMとMMMLが切り替わりますが、動作が不安定なため
近年のアコーディオンでは交互切り替えにはなっていません。



スイッチは手のひらで押しますが戻りが悪くなっています。
スイッチのメカニック部分が埃と油で汚れているのが一因です。
分解清掃が必要です。



スイッチ部分を分解しました。
裏返してみるとスイッチに貼られたセルロイドが剥がれて浮いている箇所があります。
この部分が本体と干渉して戻りが悪くなっている事が分かりました。



鍵盤下の清掃とフェルト貼り替えの為に軸を抜いて鍵盤を分解します。
分解中に軸の頭が抜けてしまいました。
軸の頭の部分には別のパーツで球体が付いていますが、ロウ付けが取れました。
これも修理が必要ですが、古い楽器は何が起きるか分からない怖さがあります。



鍵盤を取り去ると埃の塊が出てきます。



鍵盤を押した際のストッパーになるフェルト部分ですが、
劣化(虫食い?)により薄くなっています。



新しいフェルトに交換しました。
赤が鮮やかです。



鍵盤裏面のスイッチは分解清掃と、機構の不具合を直して元に戻しました。
見えない部分ですが綺麗になりました。



鍵盤の動きに伴い開閉するバルブです。
当たり面にスウェード皮が貼ってあります。
穴の痕が残っていますが今回は交換せずに戻します。



鍵盤の分解清掃、スイッチの分解清掃を終えて、部品も元に戻しました。
鍵盤下のフェルトが新しくなり、隙間から見える赤が鮮やかです。
鍵盤とスイッチの動作は軽くなり、鍵盤の高さのバラツキも直しました。
右手側の修復はこれで完了です。
ブログで書くだけだと簡単だな..



右手鍵盤側が終われば左手です。
この楽器は左手側も鍵盤ですね..