合奏用アコーディオン2015/09/23

合奏用アコーディオンの修理を承りました。



合奏用アコーディオンというのは、左手にあるボタンが無く、
右手で弾く鍵盤だけの物です。
音域でアルト、テナー、ソプラノのように楽器が分かれているので
右手の音域切り替えのスイッチもありません。
主に学校などで使われ、複数人で演奏する為、合奏用という事です。
これは日本独自の規格らしいです。
この楽器はTOKAIというあまり聞かないメーカーの物で、
それなりに古い物のようです。



中を見ると古い国産の楽器で見られる典型的な状態でした。
リードに貼ってある薄い皮のリードバルブは大きく反りが出ていて
全て交換しなければきちんとした音は出ない状況です。

同じ音程で同時に2つのリードが鳴っている仕様で、
片方はピッチが高くしてありますが、
その高い方のリードが付いている木枠には#マークが付けて
区別しているのがちょっと面白いですね。



皮のリードバルブは全て交換時期ですが、
幸いリードの錆はなく、ロウ留めの蝋も大丈夫そうです。
40年を越えた楽器はリードの錆やロウの劣化の問題がありますが
その場合の修理費用はかなり高額になりますので
中古を購入する場合は注意が必要です。
楽器自体の価値と修理費が見合わなくなる事も少なくありません。



左手側にはリードが無いので板一枚に空気バルブの穴があるだけです。
見慣れたベースリードが無いので変な感じがします。
「D 5-63」という印が押してありますが、昭和63年製でしょうか?
昭和63年は1988年ですので、28年前という事になります。
この日付が正しければ思ったほど古くありません。
ロウの劣化が無いのも頷けますが、それでも皮はダメになりますね。