EXCELSIOR 2台2015/12/04

偶然ですが、2つのEXCELSIORの調律を承りました。



こちら物は40年近く経過した物です。
若い時に購入してすぐに忙しくなって弾けなくなり、
今から再開する為に整備を行うという事です。
グリルカバーが変形して貼ってある網も剥がれています。
長期間の放置状態ですので、外観より中の状態の方が気になります。



リードを外しましたが、思った以上に良い状態です。
リードバルブの反りや劣化も無く、リードの錆、ロウの劣化もありません。
少しの調整と調律を行うだけで復帰できそうです。
さすがに使っていなかったので汚れやリードバルブの反りは無いですね。
一番心配な錆も奇跡的に出ていませんでした。



もう一台の方のEXCELSIORですが、こちらは古い物ではありません。
先の楽器とメーカロゴの形が違います。
こちらの楽器は4桁番号なのでEXCELSIORの廉価版です。
通常の物は3桁です。(コンチネンタルは番号無し)



グリルカバーを開けると何か違和感が..



こちらは黒鍵のバルブ付近を拡大した写真です。
バルブの中心にある黒いゴムの部品を鍵盤から伸びるアルミニウムの
アームが貫通していますが、何故か貫通した後の部分が長いです。
白鍵のバルブの所まで伸びています。



という訳で、余分を切り落としました。
無駄に突き出ていてもトラブルの元ですし、バネ下荷重は小さい方が
鍵盤のレスポンスもよくなります。
多分、製造時に切り落とすのを忘れたのでしょう。



これでスッキリ、違和感の無い見た目になりました。



4桁番号のEXCELSIORのリードですが、調律の痕が複数あります。
写真の左端のリードはかなり深い削り跡がリードの前後に残っています。
写真では分かりにくいですが、丸やすりで同じ場所を何度も削った感じの
半円形の深い窪みが付いています。
ここまで深く削るとリードが折れる原因になります。
削る位置も少し変ですし、前後をこんなに深く削る意味も分かりません。
製造時の物とは思えないので誰かが調律の練習でもしたのでしょうか?



他にも怪しい補修があります。
リードの付け根の所ですが、木工ボンドらしきものでロウの上から補修してあります。
全部ではありませんが、何箇所かこういうところがあります。
これも製造時のものとは思えませんので、後から誰かが施工したのだと思います。
ただ、意図が不明です。
元より、ロウの上に接着剤を塗ってもきちんと付きません。


古い方のEXCELSIORのグリルカバーです。
変形を直し、はがれた網を取り除きました。
新しい網を貼る予定ですが、これで中も外もリフレッシュできます。
長い年月を経てやっとアコーディオンを再開できる時も近いです。
因みに、ご依頼主さまはmonte accordionから電車で1.5時間以上かかる
遠方なのですが、修理完了後はこちらまでレッスンに来てくださるそうです。