再会2016/02/06

アコーディオンの左手を通すベース部分の
バンドの交換依頼がありました。
これはベースストラップという名称の物です。



ご依頼の楽器はHOHNERのConcert IIITという機種です。
この機種ですが、私が初めて購入した物と同じです。
21年前に普通の楽器店で取り寄せて購入した懐かしい楽器です。
1年後に41鍵盤のイタリア製の楽器を購入したので
その楽器は手放してしまい、今は持っていません。



これがベースストラップですが合成皮革の物で
表面がボロボロに剥がれてきています。
この部分は切れる事は滅多にありません。
その為、交換せずに長く使っている楽器を頻繁に見ます。
ですが、表面が硬くなっていたり、ひび割れが出ていて
演奏すると左手の手の甲が痛くなってきます。
ベースストラップは消耗品なので5年を目途に交換をお勧めします。
古い物を交換すると驚く程、操作が楽になる事が多いです。



併せてに各部の清掃を行いました。
長く使われていて、かなりの埃が溜まっています。
この機種は既に生産されておらず、現在は
Bravoという機種が代わりのクラスになります。
Bravoと各部の作りがそっくりで、かつてのHOHNERの
詳細までコピーされている事が分かります。



楽器の裏面ですが、MADE IN GERMANY と明記されています。
残念ながら現在の機種にこの文字はありません。

ところでこの楽器、驚いた事に私が最初に買った楽器そのものです。
日付は私が購入した時に貼り付けた物です。
胸当ても当時、私が付けたバックスキンの手製の物です。
まさか修理依頼品としてこの楽器に再会できるとは..
これを買った頃には今の自分を全く想像していませんでした。
1995年11月、この楽器を手にした事で新しい事が沢山あり
そして今に至っています。
私の人生を変えてしまった1台のアコーディオンです。
再会があまりにも嬉しくてちょっと演奏させていただきました。

これをお持ちの方にも20年近くぶりに再会しました。
私が経営している事を知らずにご来店されてお互いにビックリです。
嬉しい事にこれを機会に親子でレッスンに
来ていただける事になりました。
これからもこの楽器が活躍し沢山の事を運んで
来てくれることと思います。


中国製アコーディオン32016/02/07

このところ、中国製アコーディオンの話題が多いですが、
新たに中国製アコーディオンの修理を承りました。




修理の内容はベースの修復です。
購入したアコーディオンのベースボタンに問題が出て
自分で分解したところ元に戻せず..という状況です。
という事で、この状態で届きました。



安価なアコーディオンですのでベースメカニックは簡単に
全て取り出せるタイプです。
この方式はメンテナンスが楽になる場合が多いですが、
メカニック自体に問題があると分解するしかなく、
通常のイタリア方式より面倒になります。
この楽器も結局、分解してボタンを外してから
戻す作業を行うしかありませんでした。



無事に元通りに戻ったところです。
まだ楽器の中には納めていません。



ベースメカニックを楽器に戻して、楽器と繋がって
ロックされる箇所ですが、うまく合いません。
分解する時に捻ったようです。



分解された状態の楽器は元の状態を知らずに直す事になるので
難しい場合があります。
経験と想像と、内部に落ちていた部品から考え、
これが元の状態と思います。



ベースの底板の穴には塞いであります。
恐らく、左右の音量バランスを補正する為に
ユーザーで貼ったものと思います。



蛇腹の内部に何か付いています。
リードに挟まれば音が出なくなりますので除去しました。



接着剤?か何かのようです。



ボディーには装飾がありますが塗っただけの仕上げです。



イタリア製などでのきちんとした装飾は
溝を彫った上で塗装しているので仕上げと耐久性が違います。



鍵盤先端の成型にバリが出ています。



右手のリード部分ですが、リードバルブが最初から浮いています。
また、対向するリードの距離が近すぎて干渉しそうです。
設計と材料選択に問題があります。



付属ベルトの縫製がかなり粗いです。
中国製のアコーディオンの中でも上下があります。
安い物は楽器というより玩具です。
楽器として使って行きたい方は選択を誤ると
時間とお金を損失します。


中国製アコーディオン42016/02/07

自分で購入した中国製の小さなアコーディオンの
整備(改造?)をしています。



ベースリードを樹脂の枠ごと楽器から外しました。
一般的なアコーディオンと違い、
スペースが取れない小型楽器の為、平面的に配置されています。



貼ってあるリードバルブは薄くて変形を伴っています。
長さが不十分で先端部分で下の穴が見えている箇所が多数あります。
リードも長さが短い(穴が長い)物や
穴が大きくて隙間が多く精度が低いです。
この為、鳴り始めが悪い箇所や雑音の出る箇所が多数あります。



発音と調律の安定、雑音除去の為、
リードを徹底的に調整する事にしました。
イタリア製の高級リード入れ替えるのも面白いかと思いましたが
それは安易で誰でもできそうなので、敢えて
オリジナルリードを調整する事に。



リードの裏側もかなり酷い状況です。



リードバルブは全数交換しました。
その後、リードの調整にかなりの時間を割き、
元通りに樹脂の枠に接着しました。



蛇腹と本体の合わせ目にあるパッキンです。
かなり硬質な樹脂でできており、空気を止める効果が
乏しいと思われます。



蛇腹のパッキンシールを外したところです。
どちらかというとOリングという感じですが、
一般的なアコーディオンでは接着されているので
このように外す事はできません。



通常のアコーディオンで使用しているシール材を取り付けました。
隙間無くキッチリとシールされている感じがあります。
ベース側の合わせ目は本体と接着されているので
パッキンシールはありません。

この後は右手側の補修作業と調律を行う予定です。
小さな楽器でシンプルな構造ですが、
問題が多いのでかなりの時間を使います。


中国製アコーディオン52016/02/09

自分で購入した中国製の小さなアコーディオンの
整備をしています。


ベースリードと本体が繋がる部分ですが、
元々付いていたガスケットは発泡ポリエチレンのような感じで
硬質なので空気漏れがあると思われます。
また貼ってある位置もズレていたので剥がしてしまいました。



先日、リードの整備を完了したベースリードの枠ですが、
裏面に柔らかい発砲ゴムを貼り、本体と合わせる部分の
ガスケットとしました。
丸い穴が本体側と完全に一致する必要は無く、有効に空気の
出入りができれば良いので境界のみ仕切ることに。
こんな風に貼る方が位置決め精度が悪くても問題にならないので
安い楽器にはピッタリの方法と思いますが..



柔らかい発泡ゴムを用いても本体とベースリードの隙間から
空気が漏れているのでベースリード枠の中央2箇所に小さな
Lアングルを取り付けて本体側にネジ留めしました。
平面的な枠で素材も柔らかいので2箇所のネジ留めでは
無理があるという事です。
上下左右、4箇所で押し付ける事で空気漏れは解決です。
蛇腹と枠側面の隙間が狭いので苦労しました。



もう一つの空気漏れの原因と思われる空気ボタンを外しました。
バルブに貼ってあるのはベースリードのガスケットと同じ
硬質な発砲ポリエチレンです。
しかも、バルブ本体との接着はテキトーで、簡単に剥がれました。
こちらはフェルトと皮に置き換えました。



ベースボタンですが、異様にバネが重い設定です。
大人が使っても指が痛くなる程ですので、
子供が使うには無理があります。
バネを緩める処置をしました。



右手のリードを外しました。
やはりリードバルブは使い物にならない状態です。
リードの精度も悪いので調整が必要です。



樹脂の枠からリードを外してリードの調整、
リードバルブの張り替えを行ないます。
普通のアコーディオンだと大変な作業になりますが、
17音、Mのみという事で大した事はありません。



右手リードの調整が終わりました。



ここまでで必要な補修は終わりました。
小さい楽器ですが、取り外した部品は結構あります。
後は調律を行うだけです。


中国製アコーディオン62016/02/13

贈り物用として自分で購入した中国製の小さなアコーディオンの
整備をしています。
機能的な部分の整備は完了しました。



調律が完了しました。
見た目は何も変わっていませんが..



グリルカバーに張ってある網が医療用のガーゼみたいな感じなので
もうちょっと見栄えのする物に交換します。



一般的なアコーディオンに使うような網に交換しました。
これで外観も少し変化が出ました。
左手側の網は交換しませんでしたが、
貼り方が雑だったので張り直しをしました。



付属のベルトは大人が使える位の長さがあります。
調整範囲が狭く、小さな子供には適合しませんので、
少し短く詰め、調整範囲を拡大する為の穴を多数空けました。



これで一通りの整備が完了しました。
楽器の背面にこのステッカーを貼って全て完了。
当店での整備実施の証です。
低価格な玩具としてのアコーディオンですが、
整備をしてなんとか使える物になりました。
修正が必要な項目が多かったので意外と時間が掛かりました。
後はプレゼントする日を待つのみです。



追記
当店で講師をしているアンジェロさんの
娘さんが3月、無事に誕生しました。
整備した小型アコーディオンを贈らせていただきましたが、
すぐに写真が送られてきました。
かなり小さなアコーディオンですが、使えるには
まだ数年掛かりそうですね..