ピアニカの修理22016/05/23

東海楽器製造というメーカーの古いピアニカの修理をしています。


鍵盤を外したところです。
鍵盤の下にある緩衝材が劣化して底付きが出ています。


鍵盤の軸を抜いて鍵盤を外しましたが、一つ外したところで
軸を抜かなくても軸穴がL字に開放している事で鍵盤を外せる事が分かりました。
製造、メンテナンス時の事を考えた作りです。


鍵盤をすべて外しました。
鍵盤下の緩衝材はボロボロです。
これはウレタンのスポンジが貼ってあったようです。


鍵盤のバルブは当初、1つしか外れていませんでしたが、
鍵盤を外す時の衝撃で多数取れました。
どのみち弱くなっていて演奏中に外れると思いますので、
今外れて良かったです。
演奏中に取れたら鳴りっぱなしになるので本番中だと中断するか
楽器を交換するしかなくなります。


黒鍵のバルブも一部外れました。
こちらは樹脂製です。


鍵盤を外すとバルブ穴の大きさが途中で変化している事がよく分かります。
高音域は空気消費量が少ないからこのようになっているものと思います。



古い緩衝材を綺麗に取り去り、新しいフェルトを貼りました。
見た目にも綺麗な赤ですが残念ながら最終的には見えない位置です。
スポンジよりもかなり長く持ってくれるでしょう。
虫に食われる事はありますが..


黒鍵のバルブは樹脂製ですが、穴の淵に沿って変形が出ています。
恐らく、下にある樹脂のシール材に使っている可塑剤と反応したものと思います。
このままだと気密に影響するので平らにします。


密閉ケースに付いているドレンバルブですが、周囲が漏れ出た凝縮水で汚れています。
バルブが機能していないのでバルブ材を交換します。


修理は完了したので後は調律です。
金属クリップ4つで密閉ケースを外せます。
調律作業が楽になりますが、空気が先にバルブへ通るクラビエッタや
アコーディナであれば密閉ケースは閉じたままで楽器表面近くに出ている
リードを削る事ができますので、それよりちょっと大変です。


調律完了。
リード周りも綺麗に仕上げました。


最後に、吹き口の清掃、消毒です。
内側を綿棒で掃除したら真っ黒でした。
一番最初にもやっておくべきでした..


今回、とても貴重な楽器の修理、調整をさせていただき
大変有意義な経験をする事ができました。
まだまだ現役で使えそうな元祖ピアニカです。
これからも活躍してくれると嬉しいです。


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