鍵盤の不具合修理2020/08/26

中古で購入したアコーディオンの鍵盤の動きに問題があるということで
修理を承りました。
34鍵盤のイタリア製有名メーカーの楽器で、そんなに古い物ではありません。
3箇所の鍵盤に異常があり、押すと途中で抵抗があり押し切る事ができません。
3箇所とも同じような感触で押し切れない感じです。


分解すると原因がすぐに分かりました。
鍵盤の先にある開閉するバルブの皮の部分が楽器の面とくっついていて
鍵盤を押すと途中から皮の部分が引っ張られてバルブが上がらない状態です。
鍵盤を押すとバルブは上がろうとしますが皮の一部が楽器側とくっついていて
引っ張られます。
空気の通りが悪いので音もきちんと出ていません。


バルブの皮が楽器とくっついている原因はアルミニウムの錆でした。
楽器側の面はアルミニウムでバルブが当たる部分が酸化しています。
アルミニウムの錆によるバルブのくっつき現象は初めて見ました。
大抵はバルブの皮から出る粘着物質で楽器の面とくっつくのですが、
アルミの錆が原因になるのは初めて見ました。
3箇所の異常のうち2箇所はこれが原因でした。


残りの1箇所は別の原因でしたが、これも意外なことでした。
鍵盤を支えている軸が通っている金具の下に反対側から突き出ている
小さな突起(矢印部分)がぶつかって鍵盤を押し切ることができなくなっています。
3箇所の異常はどれも同じ感触でしたが、この1つは全く別の原因でした。


鍵盤を外すとネジの先が出ていることが分かりました。


このネジの正体は楽器の裏側に付けられた胸当てスナップを固定するネジでした。
胸当ての形状から後で取り付けられた物と思いますが、
この作業は個人で行う事はないので業者による施工と思います。
胸当てを付けた時からずっと鍵盤の異常は出ていた筈ですが..


鍵盤を全て取り外したところです。
アルミニウムの錆でくっついたバルブは2箇所だけでしたが
錆は全てのバルブの直下に出ているので再発防止のため、全て取り去ることに。


鍵盤を取り外すとやはり、楽器の下部となる最高音の鍵盤の下付近には
埃が溜まっています。
この機会に清掃します。


バルブが当たる面の錆を除去しました。
腐食しているので見た目には痕が残っていますが凹凸は無くなりました。
錆が出ているのはバルブが当たる部分に限定しているので
バルブに貼ってある皮に何か酸性かアルカリ性の物質が残っていて
空気中の水分と反応して錆が出たのだと思います。
アルミニウムは両性金属なので酸にもアルカリにも反応します。


もう片方の不具合はネジの先端を切断して干渉をなくしました。
これで鍵盤の異常はなくなり、普通に演奏できるようになりました。


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