ヘッドライト2021/02/11

今日は木曜で定休日です。建国記念日でもあります。
平日休みに慣れてしまうと祝日が重なる木曜は何処へ行っても
人が多い事が気になってしまうので家で作業しました。

以前から気にしていたバイクの電装系の整備を進めるつもりです。
取り敢えず、外装パーツを取り外しました。


タンクやカバー類を外しました。
案外簡単にバラす事ができます。


ヘッドライトのカウルも外しました。
これは後付けの社外品なので、この感じが元の姿です。
ただ、アッパーカウルは無いと高速道路で疲れるので後で付けました。


今日は簡単なところでヘッドライトの清掃と改造です。
長年の使用でガラスレンズの内側や内部の反射鏡が白く曇っているので
分解して磨きます。


ライトの電球はH4バルブですが、その上にある小さな物はポジションランプです。
これは元々小さな電球が付いていましたが自作のLEDに交換してあります。
まだ自動車用のLEDランプが出て来る前、白色LEDが実用化されてパーツとして
売られるようになった頃ですが、何年前の事か忘れました。
恐らく22~24年前と思います。
ウインカーとヘッドライト以外の部分は全て自作のLEDに交換して
今日まで問題なく使えています。


今回はヘッドライト自体をLED化します。
こういう物が出来て安く購入できる時代になったのですね。
耐久性などは不明ですが消費電力を下げられるのは
発電量が少ない古いバイクにとって有難いことです。


電球を留めている細い金属パーツは少し曲げて改造する必要がありましたが、
特に加工などしなくても取り付けできました。


レンズも綺麗になって新品のようです。
バイクはバラバラなので当分、光るところは見られそうにありませんが..

チューブチャンバー2021/02/12

TITANOという今は無いブランドのアコーディオンの調律を承りました。

イタリアのVICTORIAが別ブランドで作っていた物です。
この楽器にはTITANOや以前のVICTORIAに特徴的な部分が幾つか見られます。


右手側のリードです。
これは通常、音域の下から上までが1本の木枠になっていますが、
ご覧のように途中で分割されています。
この楽器はMMLなので、通常3本の木枠ですが6個になっています。
長い物を両端で固定するより短い方が固定が確実にできるという発想です。

因みに、確実に固定というのはネジを強く締めるという意味ではありません。
リードの木枠はとてもデリケートな部分で、一度、固定したら
できる限り分解したくない部分ですが、ネジの締め具合も難しい部分です。
強くネジを締めずに確実に固定する為に短く分割する構造を採用していたのが
TITANOや古いVICTORIAです。
ネジの締め加減や微妙な木枠の位置の違いで調律が変化したり
空気漏れが起きたり、音質に変化が出ますので
この部分は自分で絶対に分解しないようにしてください。
時々、SNSなどで分解した様をアップしている方がいますが、
そういう事を知らない故の行いですのでマネしない事です。


この楽器はそれなりに古い物で、業者から中古で購入した物と思われます。
恐らく製造から30~40年程度です。
リードのロウに経年劣化によるヒビが見えます。
実際、リードの調整などで力を加えるとリードが取れる時がある位に
ロウが劣化してきています。
今回は部分的な補修でギリギリ何とか使える判断をしましたが、
問題が出てくるのは時間の問題でしょう。

ロウが劣化した場合、調律が不安定になったり、ノイズのような異音が出て
楽器として使うには厳しい状態になります。
修理にはリードを全て木枠から外し、古いロウを除去した後に
新しいロウでリードを戻して行き、最後に調律をやり直します。
時間と費用がとても掛かる修理になります。

古い楽器はその時代にしかない良い物もありますが、
劣化した部分は寿命がありますので、
その後の維持費が大きくなる事を覚悟する必要があります。
完全修復と言って売られている物も、リードのロウまで交換してある事は
一般的にはあり得ません。


この楽器にはもう一つ、特徴的な部分があります。
チューブチャンバーという機構が付いています。
これは、右手側のグリルカバーに施されている機能的な細工です。
見たとおり、一般的なアコーディオンのグリルカバーより、
開口面積が極端に小さいことが分かります。
楕円の細長い穴が20個程度あるのみです。


このグリルカバーを外して裏から見たところです。
黒い筒状の樹脂部品が表の穴の裏側に付いています。
これがチューブチャンバーと呼ばれるゆえんですが、
リードから発音された音(空気の振動)は鍵盤操作で開閉するバルブを抜けて
グリルカバーの裏にあるこのチューブの両端の小さな開口部からチューブを
抜けてカバーの表にある穴から出て行きます。
この時に高い周波数成分が減衰して丸みのある音に変化します。
一般的なチャンバー機構のある楽器と似た音が出せますが、
その機構はとても簡単で単純に済ませられます。
これはTITANO(VICTORIA)の特許なので他の楽器では見られません。


グリルカバーを外したら普通の楽器と何も変わりません。
ただ、カバーの細工による音響効果なので、
全てのリードの音にエフェクトが掛かってしまいます。
一般的なチャンバーであればLとMだけ音が丸くなり、
残りのMやHはストレートな音が出ます。
チューブチャンバーは全ての音に掛かってしまいます。
なのでチャンバーの丸い音を使いたくない時は、この画像のように
グリルカバーを外して演奏します。(カバーを外すと僅かですが調律がズレます)

アコーディオン奏者のリシャールガリアーノが使う古いVICTORIAも
チューブチャンバーですが、演奏する場面や曲によってはカバーを外して
音をシャープにしているのは有名です。
これを真似てカバーを外して演奏する奏者もいますね。
埃の進入や機構の保護がなくなる事のリスクがあるのでお勧めはしませんが..


この楽器、ベース側にもチューブチャンバーの様な細工が見られます。


ですが、これは見た目だけの飾りです。
この楽器はオーナーが使用中に、この飾りが取れてしまったのですが、
カバーの下に穴はなく、黒く塗ってあるだけでした。


ベース側の蓋ですが、こちらは穴が全くないタイプです。
この楽器は全体にソフトな音質を狙った楽器なのでしょう。
右のチューブチャンバーの音とバランスを合わせる為とも解釈できます。


ベースのカバーを外したのですが、取り付け方を間違っていました。
矢印部分の内側にある金属部分が本体の薄い部分に差し込まれるタイプですが、
そのまま上から被せてネジ留めされていました。
なので、金具の隙間が無くなって潰れていますし、
ベースの蓋も僅かに浮いて本体と段差ができていました。
少数ですがこういう留め方の楽器があります。
そして間違って付けられていることが多いです。
ユーザーが分解すると元通りに戻せていない事があるという事例ですね。


ベースボタンの修復2021/02/13

興味本位でアコーディオンのベースメカニックを分解してしまい、
元に戻せなくなったという楽器の修理を承りました。
私も子供の時からの分解系ですので、気持ちはと~ても分かりますが、
アコーディオンのベース機構はとても複雑なので触らないことです。


届いた楽器のベース部分です。
ボタンや部品は丁寧に梱包されて届きましたが
ボタンの順番や位置はバラバラで全く分かりません。
因みに、ボタンの部品には位置を示す表示などは付いていません。


ベースボタン(コードボタン)には3箇所に金属の小さな突起が付けてあります。
4箇所ある決まった位置の3箇所のどこかに突起がありますが、
これはボタンによって色々変えてあります。
同じ物も複数あります。


こちらは楽器側のベース内部です。
細い針金状の部品が4列、狭い間隔に幾つも並んでいます。
ボタンの突起と楽器側の棒の部分が直交するように触れて
ボタンを押した時にこの細い棒が倒れてこれに連結する
バルブが開いて音が出ます。

ボタンの突起は4箇所しかないので1オクターブを構成する
12音の位置を決めている訳ではありません。
ボタンの突起と楽器側の棒の位置関係により決まった和音が出ますが
同じ突起位置を持つボタンは同じ和音を鳴らすボタンの数以上の数あるので
楽器側との位置によって同じ突起位置でも別の和音が出るという
難解なシステムになっています。


ボタンを支えている土台も取り外されていましたので、
まずはこれを戻すことから始めます。


ですが、それも簡単ではありません。
土台を留めている2箇所のネジ穴は楕円になっていて、
本体側と部品側で楕円の長径の方向が90度変えてあります。
つまり、上下左右、数ミリ程度、位置を変えられるということです。
外してしまうと元々の正確な位置が分からなくなってしまいます。
だから単に部品を戻してネジ留めして終わりという事にならないのです。
私なら分解する前に印を付けて元に戻す時に参考にしますが、
単にバラしてしまうと分からなくなってしまいます。
こういう状況はアコーディオン内部には幾つもあります。
特にリードブロックの位置やネジの締め付けは調律に影響しますので
絶対に分解しないでください。


ボタンの形やピンの位置、出てくる音を確認しながら少しずつ
ボタンを正しい位置に戻し、7th以外のボタンは戻せました。
この作業、実は2008年のイタリアでの実習中に経験しています。


さて、これは残った7thのボタンですが、これはちょっと珍しいです。
ピンが4箇所付いています。
現在の楽器では7thのうちの3音だけを鳴らすのでピンの数は3つです。
4本ある場合、7thの構成音全てを鳴らすということです。
この場合、問題になるのは音量や空気消費量が他より多くなる事や、
ボタンの戻りバネ圧が高くなる事、抜いてある音を利用して
複数和音ボタンを押して特殊な和音を得るという事ができないなどです。
その為、現在の楽器では7thやdimのボタンはピン3つの
3音構成になっています。
ただ、今回のようにバラバラになったボタンを戻す時は有難いですね。
4本ピンがあるという事はこの列は全て同じ部品という事なので。


無事にボタンが全て戻りました。


届いたボタンを戻していって最後に残ったのがこれ。
さて何の部品か?
この楽器はイタリア製ではないので見慣れない部品です。
最初から自分で分解した部品なら分かるのですが、
他人が分解した物は工程を見ていないのでこのような状況になります。
本体側を観察して行ってそれが入る場所を特定して事なきを得ました。
自分で分解していない物を元に戻すのは少し苦労があります。

総動員2021/02/16


洗濯ばさみのようなバネ式のクランプを総動員しています。
ベースボタンの所にある板の接着をして剥がれないように押さえるためです。


古い日本ブランドの中国製のアコーディオンですが、
ベースボタンが戻らなくなる不具合があり、修理に来ました。
原因はベースの所の板の合板になっている所が剥がれてきた為です。
古い楽器は思いもよらない所に問題が出たりします。


セル交換2021/02/21

今日は第三日曜日で定休日です。
天気も良く暖かい日なので、少し前から続けている
バイクの電装系の改修をしました。

エアクリーナーを取り外し、エンジン上部のカバーを外しました。
タンクやシートなどは外したままにしてあるのですぐに
ここまで来ます。エンジン上部のカバーというと普通、
シリンダーヘッドですがこのバイクは水平対向エンジンなので
シリンダーは左右に出ています。
その為、とても整備性が良いバイクになっています。


エンジンの上の部分にはセルモーターがあります。
今回はこれを交換しました。


古いセルモーターを外したところです。
右下の狭い所にあるボルトが外しにくいですがなんとか取りました。
右に見えるギアがセルのギアと噛み合うようになっています。


取り外したセルモーターです。 上は新しい物でデンソー製です。
下は外した物でフランスのValeoというメーカーの物です。
上の画像だとValeoの方が大きく見えますがこれは手前に写っている
からです。実際にはデンソーの方が少し太く、重さも重いです。

このバイクに初めから付いているValeoのセルは、ある程度の期間で
壊れるとR100に乗っている人の間では有名な話になっています。
出先で壊れると、押しがけするしかありませんが、
1000ccのボクサーを一人で押しがけしたくはありませんので
事前に壊れにくい物に変えます。


交換して配線も繋ぎました。
この状態で試しましたが元の物より勢いよく回りました。
タンクを外しているし、プラグコードも抜いているので
エンジンが掛かるのは確認できませんが、
これは全て終了してからのお楽しみという事で..