長年使った楽器の修復2021/03/10

若い頃に購入して40年以上使ってきた楽器の修復をしています。


リードに付いている革製のリードバルブは劣化により
硬化と反りがあるので全て交換です。
右手側は完了し、ベース側を進めています。


恐らく一度も交換していないベースストラップです。
切れてはいませんが硬化と縫い目が取れて2枚に分かれています。
このバンドは簡単には切れないので長く使っている方が多いですが、
5年程度での交換をお勧めします。
切れなくても硬化したり手の当たる所に亀裂ができて
手の甲が痛くなりますし、伸びて一番締めても緩かったり、
亀裂ができて外観が悪かったり色々出てきますので。
交換するだけで演奏がずっと楽になります。


空気ボタンが傾いています。
ここまで傾くと戻りが悪くなって空気漏れが起きる事も。


ベースボタンも複数個所で傾いています。
戻り不良で音が出たままになる事があります。


ベースの開口部の網が破れています。
埃や異物、虫の侵入がありますし、外観も悪いです。


長年使っていただけあって埃の堆積が凄いです。


右手のバルブ周りも埃が凄いことに。
調律を行う時にクリーニングもしますので、定期的に行う事を
お勧めいたします。


この楽器、40年以上経過していますが良い部分があります。
これは右手のバルブですがフェルトに虫食いが全くありません。
フェルトの虫食いは古い楽器にはつきものです。
バルブのフェルトに食害で穴が空くと空気漏れを起こしますし、
交換すると費用が大きく掛かります。
同様にリードの錆、リードを留めているロウの劣化は楽器として
使えない程の問題になり、修復費用も大きくなりますが、
この楽器はリードの錆もロウの劣化もありません。
なので年代の割りに修復費用が多く掛かりません。

30年以上経過した楽器であれば、フェルトの食害、リードの錆、
ロウの劣化などの問題が起きている率が高くなります。
安くてもそういう中古を買えば楽器として使えませんし、
修復するにも費用が多く掛かってしまいます。
そんな楽器でも音は出たりします。
音が全て鳴るというだけで楽器の中も見ず、音も聴かずに
購入するのは本当に止めた方がいいです。


グリルカバーが大きく凹んでいます。 鍵盤を押すと
持ち上がったバルブが当たってカツカツと音が出る程です。
鍵盤も高さにバラつきがありますね。

グリルの凹みは子供が座ったとか..
買った当時は山や海にキャンプに持ち出したり大活躍していた
そうです。
その後は子育てや体調のことで休止していた期間も。
年月分の思い出の詰まった楽器を当時のように使えるよう
修復作業を続けさせていただきます。

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