4月2021/04/02

4月になりました。
エイプリルフールは馴染めないので気の利いたジョークも言えなくてスミマセン。

金山橋交差点です。
建設中のビルがかなり出来てきました。
1月の時より倍くらいになって外周に足場もできました。


4月から値札などに表示する価格に総額表示をする事が義務付けされるそうです。
という事で、対応中です..

当店では本体価格を表示して後ろに「消費税が別途必要なります」という
表示をしてきました。
これは税率が変わった時に直す手間を省く為と、消費税は税金として別に納めている
事を明示する為です。
小売店は代行して消費税を受けているだけですし、商品の価格(価値)はどれだけの
もので、税金は個人が購入に際して国に支払うもの、と意識をするのは大切と思います。
総額表示にすると消費者としては単に店に支払う金額という意識になりがちです。
これは税金を払っている意識を薄れさせたい意図なんでしょうか?
支払金額を明確にする為という理由は建前な気がします。
ともあれ、義務化されるので税込み表示をしますが、併せて本体価格も表示します。
店が受け取っているのは本体価格だけですので。

バンドネオンの修復22021/04/02

バンドネオンの修復をしています。
前回までに操作系とパッキンシール、板の亀裂などの修理を完了しました。


今日からは発音に関わる部分の修理をして行きます。
この楽器はリードの錆があり音が殆ど鳴らない状態ですので
修復にはかなりの時間が掛かると思います。

上の画像は右手側の全てのリードです。
バンドネオンは蛇腹の押し引きで音程が変わるダイアトニック式なので
リードは音程の違う物がリードプレートの表裏にあります。
また、オクターブ違いの同じ音程の和音として1つのボタンで鳴るように
高音、低音の2つのリードが内蔵されています。
表裏と高低で1ボタンに4つのリードが必要なので、
右手だけでも144のリードがあります。


リードは亜鉛でできたリードプレート6枚に分けられています。
左右合計で12枚になります。
その他、右手側には高音の小さなリードプレートが2枚あります。
上の画像は右のリードですが見えていない木の裏側にも3枚あります。


リードは片面からの空気で鳴るようにしてあり、蛇腹の押し引きで
空気の向きが変わるため、向きを変えて1ボタンで1対になっています。
鳴っていない方のリードから無駄に空気を消費しないために革製の弁が付いています。
これをリードバルブと言いますが古くなると硬化と反りが出るので交換の必要が出ます。
この楽器では全数のリードバルブを交換します。
短いリードではリードバルブを省略しますが、上の画像ではリードバルブの無い所に
リードの錆が見えています。


リードプレートを外して裏側を見ているところです。
表と同じようにリードとリードバルブが付いています。


リードプレート裏面のリードバルブも反りが出ています。
リードの錆も確認できます。


リードプレートを外すと下の板の部分に表側と同じようにヒビ割れがありました。
これは貫通しているので修理が必要です。


別の場所にも亀裂がありました。


まずは亀裂の修理を行いました。


劣化したリードバルブを外しました。
バルブを外すとリードの錆が見えてきます。
かなり酷い状態ですがこれでも表面だけなので除去して使えます。
これだけ錆があると鳴らない理由が分かります。


リードプレート裏面もリードバルブを外しました。
こちらも錆があります。
リードに錆があると発音に問題が出るだけではなく、
鳴ったとしても残しておくと調律がすぐに変化してしまい楽器として
使えませんので錆は除去する必要があります。
その他、リードバルブを貼っていた接着剤の痕、
亜鉛のリードプレート表面の錆(酸化亜鉛)も除去します。
地味で時間の掛かる作業になります。


リードプレートの片面を綺麗にしました。
片面を綺麗にするだけでかなりの時間が掛かります。


これは磨いていない裏面。


裏面も同様に綺麗にしました。
これでやっと1枚完了。
右手側はのこり5枚と小さな物が2枚あります。


磨いた1枚を元の位置に戻してみました。
亜鉛プレートの鈍い光沢が出ています。
隣のプレートはリードバルブが盛大に反っているのが分かります。
順次、取り外して磨いて行きます。


同じ音程のオクターブ違いの方のリードプレートを外しました。
リードが長くなっている分、プレートの面積があります。


リードバルブを外すとやはり、リードに錆が出ています。


オクターブ低い方のプレートも両面磨いて元の位置に戻しました。
これで3組あるうちの1組が完了。(上2枚)
次の1組のオクターブ高い方のリードプレートを外しました。


2組目のリードプレート下にも亀裂がありました。
これも修理します。


6枚あるプレートの4枚を磨きました。
時間が掛かるので今日はここまでしか進みませんでした。
右側は残り2枚と小さな物が2枚です。

バンドネオンの修復32021/04/03

バンドネオンの修復を行っています。


昨日から引き続き右手側のリード、リードプレートの錆除去を行っています。
6枚あるプレートの4枚まで終わりましたので、残りの2枚と小さなプレート2枚で
右側のリードとリードプレートの研磨が終わります。


昨日と同様に古い革のリードバルブを剥がし、残った接着剤を削り落としたところです。
この後、リードの錆落とし、リードプレートの研磨を行いますが、
両面に対して同じ作業を行う必要があります。


1枚完了しました。
大きなプレートの残りはこれ1枚だけとなりました。


右手側の6枚あるリードプレートの研磨が全て完了しました。
ですが、右手側にはリードが2対だけ付いている小さなプレートが2枚あるので
これも同じように研磨する必要があります。

この小さなプレートには高音の小さなリードが付いていますが、
バンドネオンが段々と音域を追加して行って今に至るというのが分かります。
空いた場所に無理やり追加したような位置にありますので。


研磨前の小さなリードプレートです。
リードが小さいので革のバルブは貼ってありません。
リードにはやはり錆が出ています。
大きなプレートと同様にリードの研磨、リードプレートの研磨を
両面に対して行います。


1個完了しました。
後は小さなプレート1個だけです。


全てのリードプレートの研磨が終わりました。
と言ってもまだ左手側がありますが..


そして、研磨が終わっただけですので、
次に全てのリードの調整を行い弱い音でも強い音でもきちんと発音するようにします。
その後、剥がした古いリードバルブの代わりに新しいリードバルブを
貼って行く作業が必要です。
そこまでやってやっと調律を行う事ができます。
上の画像は取り外した古いリードバルブです。
今日はここまで。

大きなコンサーティーナ2021/04/09

コンサーティーナの修理を承りました。

送られてきた楽器を取り出すと、とても大きくてびっくりです。
直径20センチはあります。角のところで測ると更に大きいです。
一般的には15、16センチ程度ではないでしょうか?


中を見ると迫力あります。
専用リードが入っており、きちんとした作りの良い楽器です。
調整もある程度、しっかりとやってある印象です。
コンサーティーナは新品でも調整が不足している楽器が殆どですので。


今回は発音が悪い箇所や音に異常がある箇所の修理です。
該当リードに明らかに他と違うリードバルブが貼ってあります。


黒い革製のバルブが異常個所です。
他の比べると長い上に革が厚過ぎています。


リードバルブの悪い箇所を交換したり、リードの調整、空気漏れの修理など行い、
触った箇所の調律を行い完了しました。
上の画像は取り外して交換したリードバルブです。
この楽器は調律もあまりずれていなくて良く整備されていましたので
最小限の修理で済みました。
コンサーティーナに限らずですが、殆どの場合、この逆の状態です。

バンドネオンの修復42021/04/09

バンドネオンの修復を行っています。

右手側のリード、リードプレートの研磨を完了し、作業は順調に進んでいましたが
ここに来て問題が発生しました。


研磨が終わったリードですが、その後、リードの調整を行い、リードバルブを貼って
調律という具合で進む予定でした。
ところが、リードの調整をしようとしてリードを曲げてみると、穴に嵌って
戻って来ないことが分かりました。
しかも、上の画像のように殆ど全てのリードで嵌ったまま戻りません。
これはリードは鳴らない事を意味します。


本来、リードはリードの形と同じ下穴の周囲とは接触せずに自由に動きます。
上の画像のようにリード穴から少し上に出たように調整しますが、
リードの先端を押し下げても穴の周囲には当たらずに元の位置に戻る筈です。
でなければ自由に振動して音を出すことはできません。
ですが、今回、リードの錆を落として、リードプレートを研磨したにも関わらず、
リードが嵌って戻らないことが分かりました。
今までリードの錆除去を行えば大抵、リードはフリーになって鳴るようになりましたが
この楽器ではまだ問題が残っているということです。

因みに、上の画像の真ん中のリードは後で取り付けられた物です。
リードが折れて交換したのだと思いますが、イマイチな出来です。
今回は楽器を使えるようにする事が目標なのでこのまま行きます。
他にも交換された箇所が幾つかあったのでそれなりに使われていた楽器と思います。


問題はリード下にあるリードプレートに空けられたリードと相似形の穴です。
これはリードより僅かに大きくできているので通常はリードの周囲とリード穴の周囲は
全く接触せずにリードは自由に上下振動できます。
少しでも接触すると音に異常が出たり音が出なくなります。

アコーディオンでは気温の低い時に鋼でできたリードとアルミニウムでできた
リードフレームの熱膨張差により、リードが穴と接触して音に異常が出たり
音が鳴らなくなる事がありますが、それと良く似た事が起きています。

よく観察してみるとリードプレートの表面に亜鉛の酸化物が出ていましたが
これがリード穴の周囲にもかなりの量が出ている事が分かり、
これにより穴が狭まっている為にリードが当たって動かなくなっているようです。
この楽器が殆ど鳴らなかった真の理由はこの事だったようです。


仕方がないのでリード穴の周囲を削って酸化物を落とす作業を始めました。
リードは外さない状態で作業するしかありませんので、これはかなり困難な作業です。
削り過ぎると隙間が増えて発音に問題が出ますし、
少しでもリードが当たる場所が残れば、やはり発音に問題が出ます。
一つ一つ、手作業で削って行くしかありません。
1枚のリードプレートをやってみましたが、完了するのに3時間かかりました。
右手だけで6枚、左も入れて12枚ありますので、単純計算で36時間です。
一日に作業できる時間を考慮すると最低でも5日間必要です。
作業に馴れれば少しスピードアップできるかも知れませんが、
実際には5日では完了できないと思います。
さすがに見積り通りの金額ではできないので、大変申し訳なかったのですが、
修理費用の増額を連絡し、認めていただけました。
最初に予見できなかった責任もありますので、時間に対する費用はかなり
少なくしましたが、それでもそれなりに費用が増えてしましました。
まだまだ地道な作業が続きそうです。