バンドネオンの修復22021/04/02

バンドネオンの修復をしています。
前回までに操作系とパッキンシール、板の亀裂などの修理を完了しました。


今日からは発音に関わる部分の修理をして行きます。
この楽器はリードの錆があり音が殆ど鳴らない状態ですので
修復にはかなりの時間が掛かると思います。

上の画像は右手側の全てのリードです。
バンドネオンは蛇腹の押し引きで音程が変わるダイアトニック式なので
リードは音程の違う物がリードプレートの表裏にあります。
また、オクターブ違いの同じ音程の和音として1つのボタンで鳴るように
高音、低音の2つのリードが内蔵されています。
表裏と高低で1ボタンに4つのリードが必要なので、
右手だけでも144のリードがあります。


リードは亜鉛でできたリードプレート6枚に分けられています。
左右合計で12枚になります。
その他、右手側には高音の小さなリードプレートが2枚あります。
上の画像は右のリードですが見えていない木の裏側にも3枚あります。


リードは片面からの空気で鳴るようにしてあり、蛇腹の押し引きで
空気の向きが変わるため、向きを変えて1ボタンで1対になっています。
鳴っていない方のリードから無駄に空気を消費しないために革製の弁が付いています。
これをリードバルブと言いますが古くなると硬化と反りが出るので交換の必要が出ます。
この楽器では全数のリードバルブを交換します。
短いリードではリードバルブを省略しますが、上の画像ではリードバルブの無い所に
リードの錆が見えています。


リードプレートを外して裏側を見ているところです。
表と同じようにリードとリードバルブが付いています。


リードプレート裏面のリードバルブも反りが出ています。
リードの錆も確認できます。


リードプレートを外すと下の板の部分に表側と同じようにヒビ割れがありました。
これは貫通しているので修理が必要です。


別の場所にも亀裂がありました。


まずは亀裂の修理を行いました。


劣化したリードバルブを外しました。
バルブを外すとリードの錆が見えてきます。
かなり酷い状態ですがこれでも表面だけなので除去して使えます。
これだけ錆があると鳴らない理由が分かります。


リードプレート裏面もリードバルブを外しました。
こちらも錆があります。
リードに錆があると発音に問題が出るだけではなく、
鳴ったとしても残しておくと調律がすぐに変化してしまい楽器として
使えませんので錆は除去する必要があります。
その他、リードバルブを貼っていた接着剤の痕、
亜鉛のリードプレート表面の錆(酸化亜鉛)も除去します。
地味で時間の掛かる作業になります。


リードプレートの片面を綺麗にしました。
片面を綺麗にするだけでかなりの時間が掛かります。


これは磨いていない裏面。


裏面も同様に綺麗にしました。
これでやっと1枚完了。
右手側はのこり5枚と小さな物が2枚あります。


磨いた1枚を元の位置に戻してみました。
亜鉛プレートの鈍い光沢が出ています。
隣のプレートはリードバルブが盛大に反っているのが分かります。
順次、取り外して磨いて行きます。


同じ音程のオクターブ違いの方のリードプレートを外しました。
リードが長くなっている分、プレートの面積があります。


リードバルブを外すとやはり、リードに錆が出ています。


オクターブ低い方のプレートも両面磨いて元の位置に戻しました。
これで3組あるうちの1組が完了。(上2枚)
次の1組のオクターブ高い方のリードプレートを外しました。


2組目のリードプレート下にも亀裂がありました。
これも修理します。


6枚あるプレートの4枚を磨きました。
時間が掛かるので今日はここまでしか進みませんでした。
右側は残り2枚と小さな物が2枚です。

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