スイッチの修理2021/06/27

ボタン式アコーディオンの調律を承りました。
右手側のスイッチ(レジスター)の動きが重いので分解、清掃をする事になりました。

右手側のスイッチ機構を全て分解しました。
この部分だけでもこれだけの部品があります。
楽器全体としては大変な数の部品からできているので組み立ても調整も
他の楽器とは比べ物にならない程の時間が掛かっています。
この事は理解されているようで理解されていないのがアコーディオン。
何故なら、アコーディオンを愛する奏者であっても、もっと安ければ..
という意見を聞くことがあるからです。
勿論、これは内容を理解した上での単に価格に対する本音と理解していますが
本気で思っている方もいるかも知れません。

アコーディオンの価格は内容から考えると安過ぎるというのが本当のところです。
メーカーも販売店(きちんとした)も、かけた時間に見合った利益は得られていません。
影響力のある奏者や指導者の方には単に高いと言わないで、
「とても高価だけど、長く使えてとても良い時間をもたらしてくれる良い買い物です」と、
そんな風に伝えて欲しいと思っています。
もっと安くなって普及すれば..というのは方向として無理があります。
無理して安くすれば楽器として不十分になるので良さが伝わらず、不具合も多く出て
継続してアコーディオンを楽しむ人は減ってしまうかも知れません。
インターネットの出現により、店舗も持たず、きちんと整備もせずに
ただ安く売るという事ができるようになりました。
そういう行為が最も利益を上げ、そして後に最も悪い影響を残すことになるだろうと
私は思っています。


スイッチ部分は全て分解して汚れや油を落として元通りに組みました。
スイッチの不具合は、新品の時からある不具合、経年による汚れや磨耗、
動きが悪いためにユーザーが注油した場合、楽器の落下や物を当てた事による故障、
殆どはこの中のいずれかに該当すると思います。
この部分は注油してはいけない場所ですので覚えておいて欲しいです。
アコーディオンで注油が許された場所はかなり少ないです。
楽器に問題がある時は専門の技術者がいる場所へ持って行く事をお勧めします。