中古アコーディオンの整備2021/08/25

買い取りをした中古アコーディオンの整備をしています。


ベースレジスターを分解しています。
理由は2つありますが、その一つは、
ベースのスイッチの動きが少し悪いので分解して清掃、調整をする為です。


分解した部品に付いた汚れや油を綺麗に除去します。
本来、平らでなければいけない部品ですが端が僅かに湾曲している物がありました。
こういう小さな事の積み重ねが動きを悪くする原因となります。


ベースレジスターを分解しているもう一つの理由は、リードセットの組み合わせが
イマイチ使えないからです。
上の図は元の状態から組み替えを実施する時の計画案です。
右端2つの組み合わせはあまり意味がなく、元の組み合わせの中には伴奏に適した
ものが無いので不要な2つを「使える」組み合わせに組み替えます。
ベースが5セットある物ではマスタースイッチで全部鳴らすと高音域が混ざって
右手の音に対してベースが煩くなります。
なので高音部を取った組み合わせが伴奏用として欲しい組み合わせになります。
ですが時々、そういう「使える」組み合わせが無い楽器があります。
今回は分解ついでに使いやすい組み合わせに変える事にしました。


ベースレジスターの分解、清掃、調整、組み換えを完了し、元通りに組み付けました。
ベースリードは既に調整してあるのでリードバルブの反りもなく、
リードも問題なく発音するように調整してあります。


右手のレジスターも分解しました。
これも分解清掃が目的のひとつですが、一番の目的は
やはり不要な組み合わせの改変です。


この楽器はMMMLのリードセットですが、全部で7つのレジスターがあります。
この中でどう考えても不要で、どう考えても欲しいスイッチがないので
1箇所組み替えします。
さて、不要なスイッチはどれでしょう?


不要なスイッチはコレです。
Lと上にピッチをずらしたM、下にピッチをずらしたMのというMMLです。
要するにMMMのうち、正しいピッチのMを抜いたMMとLの組み合わせです。
この音、必要でしょうか?
沢山のスイッチがある楽器ならあっても良いとは思いますが7個しかない場合、
別の組み合わせで必要な物があればこれはナシでしょう。


組み替えを完了し、元通りに組み付けました。
SAXのスイッチを見てください。
Lと、ずらしていないMと、高いピッチのMという一般的なMMLです。
MMMLでは煩過ぎる時、この組み合わせが欲しいです。
元のズレたM同士のMMLはマスターの音に近いので不要です。


右手のリードも既に調整済みです。
後は全体の調律のみですが、これは実際に購入する事になってから実施します。
そうする事で購入する方のお好みのMM、MMMの波の速さに調整できますし、
調律直後の状態でお渡しできるからです。


革や布の消耗部品は全て交換しました。
蛇腹留め、ベースストラップ、胸当てです。
勿論、背負いベルトも新品です。


外観も綺麗に整えて、後は欲しい人が来てくれるのを待つのみです。