ボディー破損の修理2021/10/04

プロアコーディオン奏者の方から修理を承りました。
当初の修理は左手を通すバンドがきつく、緩めるとバンドが外れそうなので調整をする
という簡単なものでしたが、点検をしている時に重大な問題が見つかりました。


楽器本体の鍵盤の付け根部分のボディーにヒビが入っています。
楽器を演奏する状態で上の方ですが反対側の方は大丈夫でした。


鍵盤の付け根付近が割れてしまうと鍵盤の周囲のフレームが鍵盤のバネに
押されることで歪みが出て、結果として鍵盤が深くなります。
一見、鍵盤が高くなったように見えますが鍵盤ではなくて下の部分が下がったのです。
今回は片側だけが割れているので低音部の方にかけて鍵盤が深くなっています。


低音部の鍵盤高さは9.5ミリ程度です。
一般的なアコーディオンの鍵盤高さは5~6ミリですので大幅に深くなっています。


高音部は5.5ミリなので適正値です。
ちなみに、両側が割れると全体にもっと大きく深くなるので異常に気付く場合が多いです。
また空気漏れの症状が出てくる場合も多いです。


鍵盤を全て外して修理を行いました。
この部分はアコーディオンで一番弱い部分なので運搬中などに
どこかへ当てると割れることがあります。
今までにもこのような修理は何件か経験していて、今年は多くてこれで3件目です。

この部分の破損は問題が大きいので早く発見して修理する事が重要です。
楽器の取り扱いを慎重にする事も忘れないようにしましょう。
重さのある物は軽く当てただけでもエネルギーを沢山持っているので影響が大きいです。
因みに、この楽器は他人が楽器を移動させている時に落下させた事が破損の
原因の可能性が高いという事でした。
親切心で楽器を片付けてくれる場合などありますが、奏者でない方は
扱いに慣れていませんので自分の楽器は極力他人に触らせないような工夫が要ります。