中古楽器の整備2022/08/08

中古楽器の1つを買っていただけることになりました。
製造から20年程度は経過している高級楽器で、
今は会社がなくなってしまったDallapeです。
楽器としての寿命はまだまだですが、それなりに古いので
しっかりと調整、調律を行ってお渡しします。


この楽器は問題が1つありました。
アコーディオンとしては問題が大きい空気漏れの症状です。
空気漏れにも色々な状態がありますが、この楽器は蛇腹に空気を貯めた状態で
鍵盤もボタンも押さないで蛇腹を閉じるテストを行うと漏れが大きくなります。
これは鍵盤やベースボタンの操作で開閉するバルブからの空気漏れを意味します。
このテストで楽器に悪い影響が出ることはありません。
とても重要なことなので必ずこのテストを行います。
詳細を調べるとベースのバルブからの漏れがある事が分りました。
恐らくですが、新品の頃からあった症状と思います。

という訳で、ベースのバルブを除いた全ての部品を取り出して
バルブの調整を行っています。
ベースの方にも右手と同じように開閉するバルブがあります。
全部で24個ですが、通常はバルブの上に大量の細かい部品があるので
目視する事は困難です。
上にある部品を全部取り出すと右手のグリルカバーの下にあるような
バルブが見えてきて修理を行う事ができるようになります。



バルブの修理が終わったら部品を一つずつ組み戻して行きます。
バルブを触ったので位置関係に微妙なズレが出ます。
このため単に部品を戻すだけではなく、調整しながらの組み戻しとなります。
まずはベースボタン40個を戻しました。



続けてmajとminのボタンを40個組みました。
文章で書いたら1行ですが、調整を行って戻すので
集中力と時間が多く掛かる大変な作業です。



majとminのボタンを入れ終わると細い仕切り板を部品の隙間に入れます。
この部品はアコーディオンの表面に貼られているセルロイドの余りを
細く切って使っていますが、見えない部分なので意外な色のセルロイドが
入っていることがあります。
この楽器では金ラメのギラギラしたものでした。
今では殆ど作られていないような色のセルロイドが出てきたりする事があります。
ベース部分の修理をする時の小さな小さなお楽しみです。



ベースボタンを全て戻して修理完了です。
左手を通すベースストラップも新品に交換しました。
この後、空気漏れのチェックを行い全く問題なしになりました。
後はリードの調整などを行い全体の調律、外観の修正を行って
全ての調整が完了となります。


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