鍵盤の部分的な異常2020/09/08

関東のプロ奏者の方からアコーディオンの修理を承りました。
不具合の症状は右手側レジスターの作動不良と、一部鍵盤の戻り不良です。


鍵盤の1つが押した後に戻らず、音が出たままになっています。
鍵盤は黒鍵側です。
鍵盤のバルブを見ると戻らずに上がったままになっています。


リードを外して内側から見てみるとバルブの一部に変色がある事が分かりました。


レジスター(音色切り替えスイッチ)を押すと抵抗がありきちんと動きません。
原因はスイッチ側ではなく、楽器の内部にある事までは分かったので
レジスターの操作で開閉するシャッター部分の分解をしました。
シャッター部分のアルミニウムに腐食があり動きが悪くなっている事が分かりました。
これも何故か一部分だけです。
よくあるのは全体に錆が出てシャッターが固着している症状ですが
部分的に腐食があるのは珍しいです。


シャッターの可動部分を外すと楽器側にも腐食が及んでいる事が分かりました。


これはシャッターの蓋部分ですが、こちらも腐食があります。
ちなみに、腐食があるのは鍵盤の動作不良のあるバルブ位置と一致しています。


鍵盤の方を見ると問題個所の根本付近が汚れている感じです。


よく見ると該当黒鍵の淵の所にカビのような物もあります。


鍵盤の修理の為に軸を抜くと一部だけ錆が出ていました。
白鍵と黒鍵の軸の両方が錆びていて位置は同じで、範囲は狭いです。


問題のある鍵盤を外すと軸を受けている真鍮部品が腐食しています。
銅合金なので青い錆が出ています。
これは動作不良の鍵盤とその隣だけです。
鍵盤下部のバネにも錆が出ています。


鍵盤を外した本体側の方にも錆が移っています。
やはり位置は限定的で動作不良鍵盤の所です。
バルブが当たる面にもシミのような汚れがあります。


鍵盤の軸を合わせてみると位置が一致しました。
軸の錆が本体の木に移っている感じです。


外した異常部分の黒鍵ですが、一つはベタついた汚れ、
もう一つはカビのような物が付いています。


問題個所を全て清掃して鍵盤とレジスターの動作不良は問題なくなりました。
状況から推測して、ジュースか何かを鍵盤部に
少量こぼしてしまったのではないか?と思います。
持ち主の方に伝えると子供さんが知らないうちにやってしまったのかも?
という事でした。


バルブにも液体が付いたような汚れがあるので貼り替えて
全て問題なく使えるようになりました。
この後、折角の機会なのでという事で、右手側の調律をさせていただきました。
演奏で使う予定があり時間が取れないため、
今回はベース側の調律は見送る事になりました。


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