内部空気漏れの修理2022/04/20

調律を承ったアコーディオンの鍵盤バルブからの空気漏れを修理しました。


調律に向けてリード周りの調整、修正を行っていますが
ちょっとした不具合を発見しました。



これはベース側のリードの木枠の一つですが、リードの点検、調整中に
内側のリードを覗くと小さな光の点が見えました。
矢印部分の木枠の穴の奥に白い点が見えます。
リードの周囲から漏れる光が見える事がありますが
このリードには革製のリードバルブが貼ってあるので光は遮断されます。
それ以外で光が見える場合、木枠に隙間があるとか、
リードフレームの周囲のロウが無い場所があるとか、そんな時が多いです。
今回は小さな点状の光が突き当たりに見えています。



表を確認してすぐに理由が分りました。
木枠の角に穴が3つ空いています。
端の2つは壁になる部分で貫通していませんが矢印部分の穴は
リードの内側の空間に貫通しています。
ここから光が入って見えていたという事です。
ここに穴があると本来、リードを通ってリードを振動させて抜けて行く
空気の一部が出て行ってしまいます。
ある種の空気漏れですが一般的な空気漏れが楽器の外に
漏れがありますが、これは楽器内部で起きているので使用中に
気付く事が難しいです。
また、鍵盤やボタンを押している時にしか起きないので余計に分りにくいです。
ですが、空気が有効に使われないので他の箇所より音が弱くなったり、
余分に蛇腹の空気を消費しますので修理が必要です。
このような空気漏れがあるのは、リードが木枠から外れかけている、
木枠の固定が悪くて本体から浮いている、木枠が反って本体との間に
隙間ができている、という場合が殆どです。

今回の修理は単に穴を塞ぐだけです。
何故穴があったのか?という事ですが、
この楽器には内蔵マイクが付いていてユーザーが撤去しています。
その際、部品の一部がリードの木枠にネジ留めされていて
部品を外した為にネジ穴が残ったという事と推測します。

調律前の点検、修正、調整をきちんと行って行くと
様々な不具合を見つけることができます。
今回も木枠を外して内側から見なければ分らなかったでしょう。