鍵盤の不具合等2022/06/24

日本ブランドの中国製アコーディオンの修理を承りました。
不具合は一番高い音の鍵盤が戻らずに鳴ったままになる事と、
その部分の音が出ない時があるという事です。


34鍵盤なので一番高い音はミです。
鍵盤を観察すると鍵盤の両側の隙間が不均一な事が分かります。
隣が鍵盤の方は広く、本体側の方は狭いという感じです。
中国製なので鍵盤の隙間に多少のバラつきがあるのは仕方ないところですが
本体側の隙間が少ない場合、鍵盤側面が本体と干渉している可能性があります。



まずはグリルカバーを外して観察します。



グリルカバーの内側の端の部分ですが、張ってある赤いセルロイドが
剥がれているのを見つけました。
ここは丁度、問題のある鍵盤の付け根の部分なので
このセルロイドのはみ出しが鍵盤と干渉している可能性があります。
これが原因かどうかは分かりませんが不安要素は除去する事にします。
切り取っても内側で見た目に問題ないので除去しました。



次に鍵盤を押して動きを観察しました。
すると、鍵盤操作で持ち上がるバルブの角が問題の鍵盤のアームと
接触していることが分りました。(赤矢印部分)
これも直接原因か分かりませんがこのままでは問題があるので直します。
この楽器は当店が販売した物ではありませんが、
当店で販売する場合は右手のバルブの動作は全てチェックして問題があれば
修正しています。



鍵盤を外しました。
本体の内側側面の一部が少し膨らんでいるのでこの部分が
鍵盤側面と干渉している可能性があります。(黄矢印)
このような不具合は時々ある事です。
干渉しないように削って処置します。



外した鍵盤ですが、鍵盤本体(樹脂部分)と根元の金具の並行に
少しズレがあるのでこれも修正します。
中国製なので精度はそれなりという事です。

一般的なアコーディオンの鍵盤の裏には木が入っていますが
中国製などの低価格な楽器ではこのように樹脂だけという物もあります。
楽器が軽量にできるメリットがありますが操作した感触は安っぽくなります。
低価格な物同士で、同じ音域で他より軽量な楽器は大抵樹脂のみです。



鍵盤を戻しました。
鍵盤の動きは問題なくなりました。



偶然ですが、動きに問題があった鍵盤は音にも問題がありました。
すぐに発音しない場合があるという症状です。
分解してリードを確認すると、内側のリードの隙間に問題がありました。
矢印の先の部分と隣のリードの同じ箇所を比べると分りますが
隙間が狭すぎて発音に問題が出ています。
修正して部分調律を行いました。

リードの隙間や発音調整も当店で販売する楽器は全てのリードを調整しているので
このような事はありません。
また、リードの調整後に全てのリードを調律し直しています。
なのでMMの波の速さも任意に調整してお渡しできます。
これは低価格な中国製であっても実施しています。
手間と時間が掛かりますが良い状態で使っていただくには
必須の作業と考えています。



最後に、グリルカバーの変形が気になったので修正しました。
定規を当ててみると凹んでいるのがよく分かります。



修正後です。
これで見た目も操作もスッキリ問題なく使えます。
今週末に発表会へ出るという事ですので見た目も大事ですね。


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