BeBe Medusa 32022/07/13

低価格なボタン式アコーディオン、BeBe Medusaの調律を行っています。
調律前に必要な修正作業を全て終え、調律を行いました。




楽器を受け取った時に素の状態の調律を調べておきました。
元々、「音が気持ち悪い」という事から調律を実施する事になったので
元の状態がどの程度か気になったからです。



これは実際に調律を測定して表にしたものです。(右手側)
この楽器は右手側が37音、リードセットはMMです。
アコーディオンは蛇腹を開く時と閉じる時は同じ音程でも別のリードが鳴ります。
なので1音につき2つの調律が記録されています。
リードセットはMMなので調律をずらしていないMと、
意図的にピッチを上げてあるM+がありますが、
今回は調律をずらしていないMだけを記録しました。

数値はセント(cent)という単位で書いてあります。
セントとは、半音の音程差を100で割った値を1とする数値です。
つまり、0セントと100セントでは半音違うという事です。
この表では真ん中のラの音を440Hzとした時の音を基準として測定しています。
0がズレが全くない状態で、+は高い方へ、-は低い方へずれている事を意味します。



右手の調律を調べた値をグラフにしました。
調律のズレ幅がかなりある事がひと目で判ります。
全体に9セント程度の幅を持っており、低音ほど低い方へずれている傾向があります。
中心は0よりも低い方へ偏っており、平均値は-3セントなので
全体としてはA=440Hzより低くなっていることが分ります。

平均で3セント低いので大体A=439Hzという事になります。
日本の標準はA=442Hzなのでそれよりかなり低い音になっています。
大きくずれがある所では-10セントもあります。
これだけのズレがある事で「音が気持ち悪い」と感じたのでしょう。
以前に当店で販売する鍵盤式のGoldencupの整備前の調律も
大体こんな感じだったので予想の範囲です。



これは全てのリードが完全に調律された理想状態のグラフです。
この状態を目指して調律して行きます。
ただし、A=440Hzで調整します。
日本の標準は442Hzでピアノも大抵そうなっています。
日本に正規で輸入されるアコーディオンも442Hzです。
本当は442Hzで調整したいのですが、この楽器は前回ブログで書いたように
リードの先端が調律で極端に削られて短くなっているところがあるため、
442Hzまで高くする事は諦めるしかありません。

440Hzの場合、ソロで演奏していれば問題ありませんが、
他のアコーディオンなどと合奏する場合は少し影響が出ます。



ベースの方の調律も測定しました。
ベースリードは1オクターブ、12音のリードを1列とした物が4列入っています。
4列で3オクターブあり、ベースボタン1つ押すと同時に4つの同音リードが鳴ります。
ベース側も蛇腹の開閉で同じ音程の別なリードが鳴っています。
なのでリードはベース側だけで96あります。
それらを全て測定して表にしました。
ベース側もかなりのズレがある事が判りました。
ベースはボタン1つで4つの同音が重なるのでズレがあると
単音で鳴らす場合よりもズレが目立つ為、音への影響が大きいです。



ベースの方も表をグラフにしました。
やはり以前測定したGoldencupの26鍵盤の時と同様、大きくズレがあります。
この楽器では右手と同様に全体に低めになっています。
右手側よりもより低い方へズレています。
1音の中のズレ幅は10セント程度もの差があり、
一番酷いところでは±18セントもあります。
32セントの幅でずれていると、半音の1/3もズレがあるという事なので
誰が聴いてもズレを感じる状態です。



ベースの方は完全に調律するとこのようなグラフになります。
こちらも調律を行い、この状態を目指します。

当店で輸入しているGoldencupの未整備状態を知っているので
特に驚きはありませんが、楽器として使って行くなら調律が必要という感じです。


BeBe Medusa 42022/07/13

低価格なボタン式アコーディオン、BeBe Medusaの調律を行いました。
調律前に状態を測定し、Goldencupの輸入直後の状態と
ほぼ同じである事を確認して調律を完了しました。

MMの波の速さは少し速めの感じでしたが、幅広いジャンルに対応できるように
中間的な速さへ落としました。
スイッチがない楽器ではMとMMの切り替えができないので、
あまり極端な波を付けると使いづらいためです。



調律を完了し、最終的なチェックの段階で新たな問題が見つかりました。
リードの調整を行い弱い音での発音が可能になったことで
空気漏れによる発音が出るようになりました。
蛇腹に空気を入れ、何もボタンを押さない状態で
蛇腹を強く閉じることを行うと弱く音が出ます。
この試験方法は楽器の空気漏れを確認する為に有効です。
これを行うと楽器が壊れると言う話を聞くことがありますが
どんなに強く行っても楽器は壊れませんし傷むこともありません。
何度もこのテストを行って空気漏れの位置を特定し、
空気漏れの原因は右手のバルブにあることが分かりました。



バルブの位置がずれていて下にある穴の一部がバルブの外に出ています。



リードが付いている内側から見たところですが、バルブのズレにより
塞ぎきれていない部分から光が漏れていることが分ります。
僅かな隙間ですがボタンを押さなくても空気が漏れているので
演奏中に空気をロスしますし、大きな音で演奏すると音が混ざる事もあります。
リードを調整して弱い音の発音が出るようになった事で
問題が表に出ましたが、以前の状態でも空気を消費していた事に
かわりはありません。



バルブを調整して完全に穴を塞ぐようにしました。
空気漏れの問題はなくなりました。



これで全ての調整が完了しました。
手前にあるのは取り外して交換した不良部品です。



最後にベルトの調整をしました。
この楽器のベルト(ナイロン製)は万人に使えるようにとても長くなっています。
異様に長くて始末が悪いので不要部分を切断し末端を解けないように処置しました。

全体の調律を行ったことで音がとてもクリアになりました。
発音の悪い部分も改善したので弱い音も出やすくなりました。
当店で販売する楽器は中古も中国製も高級機も、全てこの状態でお渡しします。
このBebe Medusaはできるだけ安く提供し、アコーディオンを広く普及させる事を
最大の目的としており、実際、500台以上の受注が取れ、目的を遂行しています。
その分、調律や細かい部分の調整はできていないので、
より良い音で気持ちよく演奏したい方は調律を行う事をお勧めいたします。
勿論、費用は掛かりますがそれだけの対価は十分にあると思います。

この楽器を手にする方は初めての方が多いと思いますので比較基準がありません。
アコーディオンの音がこの程度か..と思って止めてしまったら勿体無いです。
低価格で始め易いという事はある意味、止める時の抵抗も低いと思います。
折角手にしたアコーディオンですので、きちんとした音を知って
更に演奏が楽しくなれば..と思います。