ベースの空気漏れ修理2020/09/14

50年程度経過した古いアコーディオンの修復をしています。


右手側の修復を完了したので、
音が出たままになっているベース側の修理を開始しました。
まずは分解して原因の究明です。
この状態で観察しましたが原因は特定できませんでした。


仕方がないのでベースボタン120個を全て外しました。
ベースボタンと直交する細い棒状の部品が24本あります。
この下に開閉するバルブがありますが、まだ見ることはできません。
ここまで分解しても原因が分からないのでバルブが見えるまで
全て取り出すしかありません。


24本ある長い部品を外すために棒の両端にあるカバーを外しました。
カバーの下は錆が出ていました。
木に接触している部分だけが錆びています。
錆のために動きが悪くなっていて
バルブが開いたままになっている可能性が高くなってきましたが、
ここまで来たので全て分解する事に。


バルブ以外のベースの機構は全て取り出しました。
残っているのはバルブ24個です。


バルブに繋がっている金属部品が激しく錆びていました。
やはり木に接しているところが酷く錆びています。
これは空気中の水分が木材に吸湿し、木材中の有機酸などと
水分により金属を錆させたのだと思います。
サラリーマン時代、輸出した製品を入れていた木の箱と雨水により、
製品の金属部品が腐食した不良原因を特定するために
徹夜で分析作業をした事がありました。
入社して1年ほどのことでしたが今思えば良い経験でした。


バルブと接している金属部分が激しく錆びています。
金属から析出した錆がバルブとの間に盛り上がるように出て、
部品の位置関係がズレて、バルブが完全に閉じなくなっていることが分かりました。


表面の錆を落としました。
少し金属が細くなったので調整が必要ですが防錆すれば部品はこのまま使えそうです。


空気ボタンの下にあるフェルト部品が虫に食われて無くなっています。
このままだと空気ボタン操作時にカチカチ音が出ますし、
空気ボタンが下がり過ぎてボタンが落ち込んで戻らなくなります。


空気ボタンの下に新しいフェルトを入れました。
50年も経てば色々な事が起きています。


折角ボタンを外したので、この部分を磨いて綺麗にしておきます。


元通りに部品を組み付けて行きます。


この部分の錆も落として動きを良くして行きます。
24本の両端なので48箇所の研磨が必要です。


やっとボタンを戻すところまで来ました。
錆の除去をして部品の位置関係にズレがあるので
単に戻すだけでは済みません。


120個全てのボタンを戻しました。


開いたままになっていたバルブは完全に閉じました。


古くなって硬化したベースの革バンド(右側の物)も
新しい物(左側の物)に交換します。
このバンドは余程切れる事がないので長年そのまま使っているのをよく見ますが
硬くなっているので手の甲が痛くなります。
新しくする事で演奏がしやすくなりますし見た目も良くなります。
ベース側も修理が完了したので後は全体の調律をすれば修復完了です。


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
迷惑書込み対策です。
下欄に楽器の名前をカタカナ(全角)で入力下さい。
当店は何の専門店でしょうか?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://accordion.asablo.jp/blog/2020/09/14/9318275/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。