食害2023/11/01

40年以上前に作られたEXCELSIORの調律を承りました。

点検、清掃の為、グリルカバーを外しました。
バルブのフェルトは問題ないようです。
古い楽器はフェルトが虫の食害で穴が空いている事があります。


バルブの奥には埃などが堆積しますが、この楽器は
動物の毛のような物が沢山入っています。
犬か猫を飼っているのだと思います。


バルブのフェルトは問題ないですが、バルブを留めているロウは
ひび割れが出ているので、近いうちに問題が出てくるかも知れません。


リードは問題なしですが、リードを留めているロウは修正した跡があり
ロウの劣化が見られます。
これも近いうちに問題が出てくると思います。
アコーディオンは50年程度で劣化部分による問題が顕著になってきます。
主に蝋と革が劣化してきますが、古い中古でもそれらを改修して
販売されている事はまずないので、あまり古い楽器は買わない事です。
蝋と革の部分を全て改めると、同等品の古くない中古が買えるような
金額になりますので、古い中古楽器が安ければ劣化部品の改修は
していないと判断できます。
楽器でなくてもそうですが、安くて良い物など無いという事です。


この楽器はベースストラップがオリジナルのままでした。
経年で硬化しているので新しい物と交換する為に
楽器を分割してベース本体を伏せて置きましたが、
楽器の端に小さな真円状の穴が幾つか開いている事に気付きました。
まるで細いドリルで開けたような綺麗な穴ですが、
見た時はその理由が全く分かりませんでした。


ベースの蓋を外すと、穴の理由が分かりました。
穴が開いている周辺の木に大きな空洞があり、
何かの虫が木を食べたという事が推測できます。


長年の埃にまじって細かい木の粉のような物が堆積しています。
ここにも動物の毛のような物があります。


ベースメカニックにも..


ベースの蓋部分の裏面ですが、指で字が書ける程に粉が付いています。


そのベースの蓋をひっくり返すと、何か出てきました。
ベースの脚部の空間に入っていたようですが、これは虫ですね。
幸い生きてはいません。
蛹かと思いましたが拡大して観察すると成虫の死骸と判断できました。
調べてみるとキクイムシという昆虫のようです。
アコーディオンでこの食害を見たのは今回が初めてです。
生きている虫はいなさそうなので、堆積した物を清掃するだけで済みました。


色々ありましたが無事にベースストラップを交換できました。
後は全体の調律を行うだけです。

小型ボタン式入荷2023/11/03

イタリアから新しい楽器が届きました。
MORESHIという老舗メーカーの物で、小型のボタン式です。
以前にも同じ機種の黒が入荷しています。


右手37音、96ベースなので中型サイズの鍵盤式と同じ音域です。
リードセットはMMLです。
この仕様であれば殆どの事はできますが、必要最小という部分もあるので
大きさ、重さはとても小さくできています。


ボタンはC配列で5段あります。
MMLなのでスイッチは5個あれば足りますが、この楽器には7個あります。


ベースボタンは殆ど困る事がない音域の96。
スイッチは3つあります。
蛇腹の内側は赤です。


イタリア製の楽器なのでイタリア製のリードが入っています。
voci armocicheというメーカーの物で、
リードプレートにちゃんと刻印が入っています。


ベースリードの方にはリードメーカーを証明する為の
ホログラムのステッカーが貼ってあります。
アコーディオンメーカーを気にする人は多いと思いますが、
それ以上にリードメーカーを気にして欲しいと思います。


重さは実測で8.2kgでした。
34鍵盤並みの重さで、大きさはそれ以下で、音域は37鍵盤と同等です。
無駄に音域の多い楽器を使っても重くて苦労するだけです。
目的に合った楽器を選択する事で費用も苦労も抑えられます。

クラヴィエッタの修理2023/11/05

現在は作られていないイタリア製の鍵盤ハーモニカ、
クラヴィエッタ(Clavietta)の修理を承りました。

主な不具合は、空気漏れと発音しない音がある事です。
原因は気密室のパッキンシールが劣化なので交換します。
発音しない音はリードの詰まりが原因でした。

クラビエッタの初期の物はバルブの樹脂(ゴム?)が硬化、変形して
大量の空気漏れと鍵盤の高さがバラバラになる状態になりますが、
この楽器は後期の物でしょうか?
その後の楽器でもバルブのゴムは黒い物が多いですが、これはシリコーン製です。
ただ、シリコーンは強度が低く、この楽器でもバルブが薄いので変形して
鍵盤が深くなっている状態です。
もう少し厚さがあれば解消しますが、バルブ受けるネジ側の隙間が細いので
厚みを増やすことは簡単にできません。


付いていたパッキンシールを取り除きました。
この後、本体に残った古い接着剤も綺麗に取り除きます。


パッキンシールを貼り換えました。
これで空気漏れが解消する筈です。

クラビエッタは同時期のBorelのアコーディナとメーカーが同じで、
構造など共通部分が多い楽器です。
大きな共通点はアコーディナと同じように、
吹き口→気密室→バルブ→リード という空気の流れです。
上の画像でも気密室の中はシンプルにバルブのみが見えています。
上にリードが見えていますが、これは気密室の外になります。
気密室を閉めていてもリードが表にあるので、
発音が大きく、調律も楽にできます。

先日行ったピアニカの調律の画像を見ると違いがよく分かります。
ピアニカなど多くの鍵盤ハーモニカは、
吹き口→気密室→リード→バルブ という空気の流れです。
なので、ピアニカは気密室の中にリードが並んでいます。


気密室に溜まった凝縮水を排出するバルブのパッキンも交換します。
ここからも空気漏れが起きますので。
形状がアコーディナとそっくりです。


修理が完了しました。
今回、調律は行わないのでこれで完了です。
一緒に送られてきたケースは革製の純正品のようですが、珍しいですね。
大体、木でできたスリムなハードケースに入って来る事が多いので。

円頓寺秋のパリ祭2023 1日目2023/11/11

今年も円頓寺秋のパリ祭へ出店させていただきました。

円頓寺秋のパリ祭は2013年から毎年開催され、
当店も初回から毎回、出店させていただいています。
新型コロナの影響で3年、休止となりましたが、
昨年から再開されました。




朝からレンタカーを借りて店から積み込みを行い、
無事、現場での準備が完了しました。
今年は南側で、丁度昨年の位置と反対面付近です。




今年はボランティア演奏の方が増えた事で
楽器などを置くスペースを確保する為に2枠での出店です。
費用は掛かりますが仕方ないところです。
出店場所はご覧の通り、民家の前です。
恐らく、以前は商店街の店舗だったと思いますが、
2日間、ご迷惑おかけする事になり申し訳ありません..



11時、パリ祭開始です。
実際、11時前から人が増え始めますが、
ご覧の通り、パリ祭の盛況ぶりはコロナ後も健在です。



ブース前では当店でレッスンを受けている方による
ボランティア演奏を行います。
以前は会場各所で演奏していましたが、今はブース前だけなので
奏者が集中する為、今年はキッチリとプログラムを作成し
時間と出演者を管理する方法で参加いただきました。
レッスンを受けている方も上達してきている人が増えて、
パリ祭で演奏希望の方が増えている事もあります。
初期の頃は何時間も一人で演奏して大変だったのですが
この頃はラクしてます..


展示楽器は全てフランス製。
Maugeinを3台と、アコーディナを展示しました。
演奏しているのはボタン式に転向した生徒さん。
楽器はMaugeinです。



10~15分で奏者交代していきます。
この方もパリ祭初参加。


パリ祭初参加者が続々と..


当店で講師をしてもらっているアンジェロさんですが、
今日はパリ祭のライブ会場での演奏があります。
本番の合間にブース前でも演奏していただきました。
さすがにアンジェロさんが演奏すると人が沢山集まります。

今年はちょっと寒いですが雨の心配もなく1日目終了です。
2日目につづく..

円頓寺秋のパリ祭2023 2日目2023/11/12

円頓寺秋のパリ祭、2日目です。
今日も例年より寒いですが雨の心配は無さそうです。


午前9時40分の商店街です。
これからブースの設営をします。



ブースの設営が完了しました。
隣は空き地になっていてペタンクの会場です。



11時、パリ祭開始です。
今日もボランティア演奏による演奏を行って行きます。



奏者は10~15分で交代し、18時終了まで
止まる事なく続きます。



パリ祭デビューの奏者ですが、
ベース側がまだ馴れないのでアンジェロさんと合奏です。



こちらもパリ祭デビューです。
浜松からレッスンに来ていただいている方です。



勿論、ベテラン奏者も..
お客さんも沢山集まっています。



今日はアンジェロさんのゲストライブはありませんが
応援に来てくれました。



パリ祭デビュー奏者が続きます。



こちらは今や古株と言ってもよい程のベテラン。



そして大御所!
歌も混ざって盛り上げています。



暗くなってきました。
閉会までラストスパート。



18時に閉会してブースを片付け、いつもの商店街に戻りました。
今年は全部で16名の方がブースで演奏させていただきました。
ブース背面の家には、2日間お騒がせして申し訳ございませんでした。
そして、パリ祭へご来場いただいた皆様、運営スタッフの方々、
ありがとうございました。



ブースを片付けて、店へ戻って荷物を降ろし、
レンタカーを返却して、なんとか無事に終わりました。
後は食べて帰るだけです。
来年もまた円頓寺秋のパリ祭へ参加できたら..と思います。