ボタン式の修理2014/06/13

先日は中国製のボタン式の修理を行いましたが、
今度はフランス製のボタン式の修理です。


フランスの有名ブランド、Cavagnolo のボタン式です。
グリルカバーを外したところですが、52音あるのでバルブだらけです。
今回、バルブに貼ってある皮とフェルトを交換しますので、
全てバラバラに分解する必要があります。


バルブを取り外すにはボタンを全て取り外す必要があります。
ボタン式は同じ音程のボタンが2つある列がありますので、
実際の音の数よりボタンの数が多くなります。
この楽器は5列ボタンなので音の数の約1.7倍のボタンが付いています。
90個近いボタンを全て取り外すとボタンの下にあるパネルを外せます。



その後は軸を抜いて端からバルブを外して行きます。
構造が複雑なので組み立てる時は更に大変です。


この楽器にはチャンバーが付いていますので、実際のバルブは音の数の2倍です。
ご覧の様に、ボタンの先から延びるアームが二股になっていてバルブが2つあります。
チャンバーのある楽器では、一つのアームに付いた2つのバルブが均等に
穴を塞ぎ、二つ共に面も正確に当たっていないといけません。
少しでもどちらかが強く当れば片方は空気漏れをしますし、
面が傾いていれば空気漏れが起きます。
チャンバーのバルブの調整は大変難しく、時間のかかる作業になります。
これがチャンバーの楽器が高価になる理由の一つです。

今回の楽器はまだバルブの皮とフェルトを交換するには時期が早いですが、
稀に起きる皮の張り付き現象が起きている為、交換する事になりました。
写真のバルブの皮の茶色い色に濃淡がありますが、濃い色の所が
粘着性を持っていてボタン操作の初期が重くなる不具合が起きています。
1回ボタンを押すと直後は問題ありませんが、少し放置するとまたくっついて
最初に押す時にカックンという手ごたえが出ます。
原因は皮を貼った時の接着剤の成分が年月を経て染み出してくる事のようです。
こうなると交換するしか修理する方法がありません。
鍵盤式でもボタン式でも時間と費用のかかる修理になりますので、
中古楽器でこのような症状が出ている場合は買わない方が良いでしょう。
同じ理由で30年以上前の楽器で鍵盤やボタンを離した際のパチパチ音が
大きくなっている楽器も止めた方が良いと思います。
当店の中古楽器では必要がある場合、バルブ材は交換しています。


右手側のバルブを全て外しました。
こうなると、ただの穴の空いた箱ですね..


古い楽器ではありませんが、良く使っているのでしょう。
バルブが当っていない部分のアルミニウムパネルには
埃の後がクッキリできています。
定期的な調律を行う事でこういった埃の除去や点検ができます。
さて、この後は104個あるバルブのフェルトと皮を新調する作業が待っています。

Bellows Lovers Night vol.13 in Nagoya2014/06/13

今年も Bellows Lovers Night が開催され、名古屋でも行われます。
日時: 2014年7月11日(金)開場18:00 開演19:00
会場: THE BOTTOM LINE(名古屋市千種区今池)
出演: coba ジャンニ・ファセッタ 杉山卓 アンジェロ・アクイリィーニ
    CACカルテット Snafkin
s うきよね Sapato Novo and more…
料金: 全自由¥4,200(税込・整理番号付) ※1ドリンク別途500円 ...

monte accordionからも、アコーディオン教室の講師2名が出演予定です。
チケットはmonte accordionでも取扱いしております。

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