古いアコーディオンの修理のご依頼 ― 2020/09/02
50年は経過したと思われるアコーディオンの修理を承りました。
こういう場合よくあるのはオークションで古い楽器を手に入れたという物の修理ですが、
この楽器は祖父の楽器という事ですので家に伝わる物で、
お孫さんが修理の依頼人という事と思います。
楽器の見た目は悪くないのですが音はノイズ混ざりで、
空気漏れがあり、なにも押さなくてもベースの音が少し出ています。
内部を点検してみました。
リードに貼ってある薄い皮のリードバルブが激しく反っています。
これではまともな音は出ません。
皮は硬化しているのでこれは全数交換の必要があります。
これは40年以上経過した楽器には普通にある事です。
古い楽器の場合、どんなに外観が良い楽器でも
最低限、リードバルブの交換と調律が必要です。
大抵の場合、その他の不具合もありますのでそれだけで済む事は
ほとんどありません。
古い楽器にはよくある不具合のもう一つが発見されました。
リードの錆です。
リードの錆がある場合、除去しないと調律が安定しませんので
楽器として使うのであれば錆の除去は必須になります。
ベースのリードです。
こちらも皮のバルブが劣化していますので全て交換です。
やはりベースリードにも錆が出ています。
幸い、古い楽器でよくある不具合の3つ目、リードを留めているロウの
劣化がありませんのでまだ良かったです。
リードバルブの交換、リードの錆除去、ロウの再施工の3つが必要になると
修理費用で同等品の整備済み中古が買えそうな状況になってしまいます。
ベースの音が出たままになっているのでベースリードを外してみました。
僅かにバルブが開いている箇所がありました。
音が出たままになっているのはこの部分という事は判りましたが
その原因はベースメカニックを点検しないとわかりません。
ここまでの点検で大体の見積もりを作成し、連絡すると修理を行うという事でしたので
修理を進めさせていただく事になりました。
かなりの費用が掛かりますので一般的には修理しないで買い換える状況ですが
今回はこの楽器である事に意味がありますので修理する意義があるでしょう。
きちんと修理して再び楽器として使えるようにしたいと思います。
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