修復開始2020/09/05

先日、50年以上経過したと思われるアコーディオンの修理のご依頼がありました。

見積りを了承していただいたので修理を開始させていただきました。


まずは古くなって硬化と反りが酷くなった革製のリードバルブを全て取り去ります。
表から見えていない裏面にも同じ数だけのバルブが付いていますので
かなりの数量になります。
バルブを外すとスッキリして錆さえ無ければまだまだ、という感じの見た目です。


リードバルブを取ると錆がよく見えてきます。
本来、錆が出たリードは木枠から外して古いロウも除去して1つずつ
錆を落として行きますが、ロウの状態がそんなに悪くない事と、
修理費用を抑えるため、今回は木枠に付けたままでできる限りの錆を
除去する方法で行います。
今後、長期に渡って楽器としてきちんと使って行く事が分かっている場合は
費用が掛かってもリードを取り外して作業する必要があります。

錆の発生は起きて欲しくない現象ですが、間違っても油類や錆止め剤は使いません。
少量でも汚染されるので後に問題が起きます。


作業中に1つリードが取れてしまいました。
錆を除去する作業ではそれなりにリードに力を加えますので。
やはりロウも年代なりに弱ってきているということです。
新しい楽器では多少の事ではビクともしません。
もっとロウの状態が悪い場合は何もしなくてもひび割れが見えています。
そうなった楽器は錆が出ていなくても全てのリードを取り外して
新しいロウでリードを留め直す作業が必要になります。


古い楽器によくありますがロウ留めのリードなのに釘も打ってあります。
この楽器にも釘が打ってありますがリードの先端に1本だけです。
少し前にフレンチタイプ釘留めリードの楽器を紹介させていただきましたが、
そういう楽器では1つのリードに3~4本の釘が打ってあり、ロウは全く使いません。

釘の長さもかなり違います。
上の画像の短い方の釘は今回の修理の物ですが右にある長い方の釘は
釘留めリードに使われている物です。
長さは1.5倍程度あり、抜け止め防止の溝が刻んであります。
こういう専用の釘でガッチリとリードを留める事で、あの特有の音が出ます。

ロウ留めの楽器に釘が付いている場合の理由は分かりませんが、
恐らくロウを施工する前の仮止めの為か、気温上昇でロウが弱まった時の
補強用という事かと推測します。
ロウと釘の両方が付いていても釘の使い方が違うので
発音的には単純なロウ留めと変わらないです。

この後、錆除去とリードの修正、リードバルブの取り付けを行い、
リード周辺の整備を完了させます。

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