修理する楽器 ― 2023/04/11
ネットオークションで購入したという日本製アコーディオンの修理を承りました。
メーカーはヤマハです。
現在はヤマハではアコーディオンを作っていません。
日本製のアコーディオンは合奏用を除いて現在はありません。
ネットオークションで購入したという楽器ですが、
ご覧のようにベースボタンが落ち込んでいる状態です。
音が出たままになっているので、実際の楽器の状態は確認できません。
オークションで表示されていた時は、ボタンに異常は無いという事なので
輸送中に起きたのでしょう。
これは、いわゆる輸送事故ではなく、発送する時の姿勢が悪い事で起きています。
アコーディオンは安全に輸送する向きが決まっていますので、
それを間違えるとこのような事になります。
アコーディオンの安全な送り方は下記リンクをご覧ください。
受け取り後に、こうなっていると宅配業者のせいにしたがる人もいますが、
これは輸送時の姿勢や梱包が問題なので、保証の対象ではありません。
無理に保証で直そうとすると、アコーディオンは宅配に向かない物という
扱いになり、一般の宅配で受けてもらえなくなります。
そうなると、遠方からの修理や通販をする場合、高額な
楽器専用などの運送方法を使うしかなくなってしまいます。
なので、安易に運送会社の保証を使う事を考えないでください。
但し、箱が凹んでいるなど、明らかに輸送時の問題と分かる場合は
主張しても良いでしょう。
それでも、アコーディオンは宅配できない物、に一歩近づくと思います。
多少の事では壊れない梱包にする事が重要です。
ベースリードを取り外したところです。
空気が通る四角の穴のところにあるバルブが開いている所があるので
音が出たままになっています。
ベースメカニックは酷く崩れていますので、
こうなると、ボタンを全て外して元に戻して行くしかありません。
メカニックに歪が残ると、ボタンが元に戻っても空気漏れが残る事もあります。
ご依頼はベースの修理ですが、内部の点検も行いました。
古いヤマハの楽器の典型ですが、リードに貼ってあるリードバルブと
樹脂製の部品が劣化しています。
革製のリードバルブと、樹脂製の細い部品が反っています。
この状態では雑音が混ざって綺麗な音は出ません。
調律もズレているでしょう。
楽器が届いた時にはベースが鳴ったままなので、
楽器の音の異常までは気づく事ができません。
購入した人はベースが直れば普通に使えると思っているでしょう。
ベース側の本体内側に、60と書いてあります。
これは恐らく、昭和60年製造という事でしょう。
38年前の楽器という事ですね。
40年程度経過すれば劣化する部品も出てきます。
ただ、この楽器はリードバルブなどを新品に貼り替え、
全体の調律を行うと、最近の安い中国製の楽器よりも良い物になります。
この楽器は37鍵盤、MML、80ベースという仕様なので、
修理費をかけても、新品の中国製より良い結果となります。
なので、今回は修理を行う事になりました。
先日、同じヤマハ製の古いアコーディオンの修理依頼がありましたが、
その時は、修理しないという判断でした。
この違いは、楽器の音域により決まります。
中古を買う場合は、費用をかけて直す価値がある物かどうか?が重要です。
40年以上経過した中古でそのまま問題なく使える事はありません。
ベースメカニックを修理しました。
ベースのバルブは全て閉じて、空気漏れによる発音もありませんでした。
後は、リードバルブを貼り換えて、全体の調律を行い、
ベルト類を新品にすれば、使って行ける楽器になります。
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