バネ破断2015/04/04

一般的な楽器店でも手に入る中国製アコーディオンの修理を承りました。


症状はベースボタンの一つが戻らず、音が出たままという事です。
この楽器はベースメカニックが簡単に全て取り外せるので、点検も修理も簡単です。
一方で、ボタンを押した時のフィーリングの悪さや、耐久性で劣る部分があります。
低価格なアコーディオンではこのシステムが多いです。



ベースのバルブが全て見える状態になりました。
3分以内にこの状態にできます。
イタリアの通常のシステムでは、ここまで来るのに慣れた人で30分程度かかります。
しかも外した部品を並べる為の広いスペースが必要になります。
このシステムでは外すのも戻すのも数分です。
イタリアのシステムでは戻す時には更に時間が掛かります。



音が出たままの原因はこれでした。
画像の中央のバルブのバネが折れています。



バネの取り外し、交換はちょっと大変でした。
一つの軸上に部品が串刺しになっている為、一箇所の交換でも
バルブ全てを取り出し、バラバラに分解して行く必要があります。
串はボディーに収まったままでは抜く穴が無いので
全て取り出しての作業となります。
折れたバネは画像の一番左の物です。

同じメーカーの低価格な楽器で以前にも幾つかバネ折れを経験しています。
そんなに沢山の同じメーカーの楽器を見てきた訳でもないのに
何回か記憶がありますので割合としては高いと思います。
この楽器も古くないので、バネ材の品質に問題があり、
ある一定割合で不良が生じているのでしょう。



バネを修理して、メカニックを戻し、ベースの蓋を閉めて終了です。
ベースの蓋の部分は左手で押す部分なので塗装が剥げて変形しています。
薄いアルミニウム製で塗装仕上げなので耐久性が低いです。
楽器が全体的に薄く軽く出来ています。
初心者の方は軽さと価格の安さで選ばれやすい楽器と思います。
軽さと安さは魅力ですが過度な軽量化は耐久性が劣ります。
イタリア製の楽器の重さは、長い期間、試行錯誤された結果です。
耐久性と重さのバランスの良いところで落ち着いている訳です。
楽器の大きさ(音域)のわりに軽い楽器は何かを犠牲にしています。

一般的に、価格が25万円以下の物はブランド名に関わらず
ヨーロッパの物ではありません。
ですが、きちんとブランド名がある物は粗悪品という程ではありませんので、
自分にとって何が必要なのかを考えて選ぶ事が大事かと思います。
有名ブランドでもイタリア製でも、古くてくたびれたアコーディオンより、
新品の中国製の方がずっと上達に貢献するでしょう。


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