中国製ボタン式の修理2014/06/10

中国製のボタン式アコーディオンの修理を承りました。


グリルカバーを外したところです。
ボタン式では、1段目と4段目、2段目と5段目は同じ音が並んでいて、
ボタンのどちらを押しても一緒に動いて音が出る様になっています。
そのうちの一箇所で4段目のボタンが連動せず、
引っ込んだままになっているという部分が不具合の箇所です。

ボタンを外さないと原因究明と修理ができませんが、
少し試弾きしてみて幾つか気になる点が見つかりました。
ボタンを押すとカチカチと異音がする箇所が幾つかあります。
これはその一つで、ボタンの周囲が他のボタンに当る箇所がありました。
押すと斜め上のボタンの渕に当ってノイズが出ます。
こういうところが幾つかありました。


別の原因で異音が出ている箇所もあります。
ボタンを押した時に上がって空気を通すバルブの上面が
他のバルブのアームと干渉しています。
写真は該当箇所で、ボタンを押した状態です。
明らかに接触していますが、こういうところが他にもあります。


本題では無い細かい不具合を修理しつつ、ボタンを全部外しました。
これでやっと、その下にあるパネルを外す事ができます。
写真の4段目中央付近のボタンが引っ込んでいるのが分かります。

ボタン下のパネルを外したところです。
かなり複雑になっているのが分かると思いますが、
鍵盤式と比較して複雑な構造になる為、ボタン式の方が高価になります。
音域が広いという事も一因ですが。


不良箇所のところです。
一つだけ高さが違います。


不具合の原因は1段目と4段目のボタンを繋いでいる
真ちゅう製のリンク部品が破損している為でした。
写真の左端が壊れた部分で、右の二つは正常な状態です。
同じ部品はありませんので、部品を作製して修理しました。


修理完了後、またボタンを一つずつ取り付けます。
中にはネジが壊れていて空回りする箇所もありますので、
修理しながら元に戻す必要があります。
製作時の取り付けでオーバートルクになっているのでしょう。


最後に取り外した音色切り替えスイッチ(レジスター)を取り付けます。
ネジ二つで固定していますが、何故かビスとナットで留めています。
通常、こういう部分は台座に目ネジが切ってあり、ビスだけで留まっています。
台座は折り返し付きでナットは下部になるため目視できませんし、
工具もまともに入りませんので、2箇所留めるだけで苦労しました。
これでは作る時に無駄な労力が掛かる筈です。

今回のご依頼はボタンの不良だけでしたので、
音の関係は全く手を入れていません。
中を開けたのでリードを見てみましたが、対向して取り付けてある
リードがどう見ても近すぎると思います。
発音時に開いたリードバルブが向かいのリードに接触するのは間違いないでしょう。
これは不具合ではなくて仕様なので修理はできません。

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