9月2021/09/01

9月になりました。

店頭にあるミニバラですが突然2つだけ花が咲きました。
小さな鉢に植えてから何年もそのままなので良い状態ではありません。


枯れたと思っていたハイビスカスは順調に葉増やしています。
さすがに今シーズン咲くことはないでしょう。

酷使楽器の整備2021/09/07

プロ奏者が使う古い年代のアコーディオンの整備を承りました。
プロ故に使用頻度が高く、楽器も古い物のため、酷使状態と言えるでしょう。

まずは度々問題が出る右手のバルブの修理、調整から。
空気漏れがあり原因の大半はこの部分からと判断しました。
奏者は筋力アップに励んでいらっしゃるので楽器もそれに対応できるように
調整し直します。


次はやはり度々問題が出ている右手側のレジスターの修理、調整です。
分解清掃しつつ問題を潰して行きます。


蛇腹からの空気漏れもあります。
調べてみるt内側で破れている箇所が幾つかありました。


蛇腹内を点検していると小さな部品が幾つか挟まっています。


ひととおり蛇腹内を捜索してこれだけの部品が出てきました。
激しい使用により内部の部品が外れて落ちたものと思われます。


楽器の外観の傷みも激しいですが、前面のメーカーロゴもなくなっていました。
古い楽器からロゴを移植する事にします。


ロゴを復活させ、外観も磨いて整えました。
50年以上経つ楽器で酷使されている状態ですがアコーディオンは
それができる楽器です。
勿論、定期的な整備は必要ですが良い物は酷使する事を前提に作られています。
どんなに大きな音で演奏しても壊れませんので楽器に気遣うことなく
酷使する事が楽器にとっても良いことです。
ただ、酷使というのは雑に扱って良いという意味ではありません。
運搬などは丁寧に、酷使してよいのは演奏だけです。

美術館2021/09/09

今日は木曜で定休日です。
以前から行きたかった展覧会を見に美術館へ行きました。

という訳でやってきたのは豊田市美術館。
住んでいる岡崎市の隣が豊田市ですが来たのは初めてです。
ヨーロッパの美術館を思わせるような美しい建物です。
建物、建物内、周辺の通路、庭園など含めて美術作品として楽しめます。


今回見学したのはMondrian展です。
表にある大きな看板はMondrianの有名な絵を模したものですが
中学校の時に美術の教科書で見て、単純だけど何か惹かれるものを感じ、
以来、モンドリアンの名前とその作品が頭に残りました。
まあ当時流行っていたガンダムと同じ色だ、とも思いましたが..

展覧会では四角で塗り分けられた作品が沢山あるのかと思いましたが案外
そんな事はなく、そこへたどり着くまでには色々な作品があるという事が分かりました。
他の作品も興味深い物が色々とありました。


表の看板を撮影している時、文字が変形した? と思ったらバッタでした。

高級機へのマイク取り付け2021/09/10

定価180万円もするアコーディオンへ内蔵マイクを取り付けるご依頼を頂きました。
新品で購入され届いたばかりの無傷の楽器です。


マイクの左右音量調整用に取り付けるボリュームの穴を空けています。
180万円の楽器に後戻りできない加工という事で超緊張します。
穴あけ後にボリュームが内部の部品と干渉する事が分かっても
位置を変えるには新たな穴あけが必要になりますので
慎重な事前調査が重要となります。
他の部品との干渉以外に、見た目、操作性も考慮して位置を決めます。


無事にボリュームが付きました。
この状態でも案外違和感が無いのでホッとしました。
実際にはツマミが付くのでもうちょっと見栄えが良くなります。


付いたのはボリュームだけですので、今度はマイク基盤の位置を検討します。
この場合も内部部品との干渉を避ける事以外に、音を平均的に取れる場所、
外からできるだけ見えない位置などを考える必要があります。
この楽器のようにグリルカバーの開口が大きい楽器はとても気を遣います。


マイク基盤も無事に取り付けできました。
後はベース側へのマイク設置、バッテリーの設置、各部の部品同士の結線、
シールドが入るジャックの取り付けを行います。


これはマイクの基盤、配線、バッテリーなどを含めた全ての部品です。
マイク部品の重さは体重計では測定限界以下でした。
手で持ってみてもスマホより軽く感じるので150g以下と思います。
なので楽器へ取り付けしても重量増は無視できる程度です。
その程度の重量増で右側にマイクが3つ、ベース側にマイクが1つ入り、
全体を満遍なく集音する事ができます。


因みに、この楽器のカタログでの重さは9.6kgです。
37鍵盤、HMML、ダブルチャンバー、96ベースの楽器としては信じ難い重さですが
実際測ると10.6kgでした。
誤差1kg ..
まあ、どこのメーカーも大体そんな感じです。
カタログで見た重さが軽い事を理由に楽器を選ばない事です。
軽い楽器を求めるユーザーが多い事をメーカーは知っています。


当店で在庫しているイタリア製の無垢材を用いた楽器も測ってみました。
これは41鍵盤、HMML、ダブルチャンバー、120ベースです。
実測値は11.8kgでした。
この仕様の平均的な重さでしょう。
因みにカタログ値は11.5kgなので大きく外れていません。

楽器を購入する場合、実機がある場合は重さを実測すると良いです。
受注などで実機の重さが測れない場合も同じメーカーの別の楽器の重さを測り、
カタログ表記とのズレ度合いを確認する事でメーカーの癖を把握する事ができます。
尚、当店では実測値を全ての展示楽器に表示しています。
ご希望があれば目の前で測定する事もできます。


無事にマイクの取り付けが完了しました。
見た目の影響も最小限にできたと思います。
これでステージにマイクを立てたり、楽器への取り付け作業をしないで済みます。
楽器とマイクが近いことでハウリングもしにくくなりますし、
マイク設備を楽器と共に現場まで持って行く必要もなくなります。

バンドネオンの調律2021/09/12

バンドネオンの調律を承りました。
何故か今年はバンドネオンの調律のご依頼が多いです。


オークションで購入されたという楽器ですが
最近見た物の中では新しくて状態が良さそうです。


ブラジル製のようです。
ブラジルでもバンドネオンを作っているのでしょうか?



中を見るととても綺麗でリードバルブの反りも殆どありません。


極一部のリードバルブに反りがありますが
殆どのバンドネオンに見られるような劣化したリードバルブが付いている
ような事はありません。
樹脂製というのも大きいでしょう。
持ち込まれるバンドネオンの殆どは革製で経年劣化で酷く反っている事が多いです。
そのような場合はリードバルブの交換が必要となります。


リードの内側も問題ありません。
リードプレートと革パッキンが接触する部分で革パッキンと金属が
反応して癒着気味ですが問題が出る程では無さそうです。
そして、このバンドネオンのリードプレートはアルミニウムでした。
一般的なバンドネオンでは亜鉛が多いです。
亜鉛のリードプレートで各音が独立していないで1枚に並んでいる事が
バンドネオン独特の音を得る要素の一つですが、
アルミニウムなので音への影響はあると思います。
聴いた感じでは悪い印象はありませんでした。
楽器が軽量になるというメリットはあります。


リードの錆は殆どありませんが一部のリードでは錆が確認されました。
バンドネオンのリードやドイツ製のアコーディオンは
イタリア製のリードより錆が出やすい印象があります。
統計を取ったわけではありませんが、経験的にそう思います。


とても古くなりので蛇腹の状態も良く、空気漏れは少ないです。
という訳で、標準的な調律作業で済みそうです。
バンドネオンは古い物が多いので調律だけで済む場合が少ないです。