修理見積り2022/06/25

アコーディオンの整備を承りました。
遠方からのご依頼なので楽器は送っていただきました。
修理や調律で持ち込まれたり、送られてきた物は最初に点検と見積りを行います。
この楽器も点検、見積りをさせていただきました。
因みに、点検、見積りは無償でさせていただいています。



楽器は37鍵盤のヘスミューラー(Hessmühler)というドイツ製の物です。
20年程度以前に日本で低価格な楽器として販売されていました。
この楽器もその頃の物と思いますのでとても古い楽器ではありません。
以前から使い続けている物か、中古で最近購入した物かは不明です。

まず、鳴らしてみると調律の狂いがかなりある事がすぐに分ります。
それ以外にはリードバルブの雑音が出ている程度で大きな不具合は無さそうです。
分解してみるとやはり、リードバルブの反りがかなり出ている事が分りました。
全て新品に交換する事が望ましいですが、使える物は修正して再利用、
使えない物は交換という事で見積りする事にします。



右手側のリードですがリード表面に錆が出始めています。
殆ど全てのリードがこのような状態です。
調律の狂いが大きいのはこれが理由でしょう。



ベースリードです。
こちらもリード表面に錆が出始めています。
まだ変色程度で錆という程ではないのかも知れません。



ですが、リードの内側を点検するとハッキリとした錆が出ていました。
この楽器を楽器として良い状態にする為には、リードバルブの修正、交換、
リードの錆除去、調律が必要なことが分りました。
錆の除去はとても時間が掛かる作業になるので費用が多くなります。



その他、ベルト類が劣化していて交換が必要です。
これはベースの手を通すバンドですが、硬くなって内側が割れています。
ベルト類は消耗品なので数年~10年程度で交換が必要になります。

必要な修理、調律を見積り書で送りましたが、リードの錆や
リードバルブの劣化があるので費用は10万円を超えました。
そして、今回は修理、調律を行わないで戻すことになりました。
楽器が当時の価格で20~30万円程度だった事を考えると難しい判断になります。

アコーディオンの修理や調律はとても時間が掛かるので日本での一般的な
修理費用では全く割りに合わない作業となっています。
その為、修理業だけで独立した職業として成り立たない現状があります。
楽器を売る人は出てきても修理を本業とする人が出てきません。
副業でできるような短い時間でできるような作業ではありませんし、
元々、需要も多くないので今後もきちんとした人は出て来ないかも知れません。
ビジネスとして成立させるには販売と修理を並行する方法がありますが
それでもきちんと整備を行って販売すると年間に出せる数が限られますので
きちんとやる程、厳しい状況になっていきます。


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