コンサーティーナ調律2021/12/12

コンサーティーナの調整を承りました。
少し古い物ですが大きな問題はなさそうな物です。


右手側のリードです。
コンサーティーナ専用のハンドメイドが付いています。
リードに錆が出ていますので調律の狂いが大きいでしょう。
錆の除去と調律は必須と判断できます。


同じく右側の裏面です。
アコーディオンリードのコンサーティーナはリードの反対面を確認するには
リードを外す必要がありますが、蛇腹の押し引きでそれぞれ独立したリードの物は
板の反対面に付いているだけなので、外す事なくオープンな空間で点検できます。
点検だけではなく、調律や修正作業も同様なので整備性がとても良いです。

リードバルブは白い革の物と茶色い革の2種類がありますが、
どちらかが後に交換された物です。
茶色の方が反りが大きく、厚みがあり硬いので、交換する箇所が多くなりそうです。


こちらは左手側のリードです。
やはり錆とリードバルブの反りが見られます。
調律前にリード周辺の問題を全て修理、修正する必要があります。


左手側の裏面です。
リードバルブの反りが激しいです。
雑音の原因になるので修正、交換が必要です。
全体としてはリード周りの調整だけで大きな問題はありません。
調律をすれば良い状態になりそうです。

その他、発音の改善の為にリードの隙間の調整は必要です。
これを「あげみ調整」と呼ぶ事がありますが、リードに挟まった異物を取る事と
混同している人もいるようです。
私はあげみ調整という言葉は習っていませんので詳しく知りませんが
イタリアでは単に、「リードの形状調整」です。
ネット上では専門的な用語が出て来るサイトやSNSがありますが、
書いている人の経歴として専門的に習ったりしていない場合、
ネットでかき集めた情報の転記に過ぎません。

リードバルブ、さぶた革、あげみ調整..普通に楽器を使っている程度で知りえない用語が
書いてあると信憑性がありそうに感じますが逆に疑った方が良い時もあります。
書き手の経歴が確実な事、或いは元となる情報先が明記されているかどうかで
大体判断できます。
管楽器や弦楽器、ピアノの修理を職業としている方から不必要に専門性のある
情報はでてきません。
何でも情報公開するような方は別な意図があるのでしょう。
情報が氾濫する時代に必要なのは読み取りと判断力です。