Castagnari クロマチック2021/03/01

イタリアのダイアトニックアコーディオンを専門に作っている
老舗メーカー、Castagnari から新しい楽器が入荷しました。


Castagnari は、カスタニャーリという発音です。
創業100年を超える老舗メーカーで、主にダイアトニック式を
作っていますが、今回入荷した物はクロマチック式です。

音域は43音あり、リードセットはMMLで、
ベースは4セットリードの96ベースです。
この仕様であれば殆どの場合、困らないと思います。

重さは実測値で8.8kgなので小型軽量と言って良いでしょう。
因みに、メーカー発表値は8.5kgです。
メーカーサイトやカタログ値は鵜呑みにしてはいけません。
大抵の場合、表示より重いです。


無垢のチェリーウッドボディーに高級感のある装飾があります。
ベースの切り替えスイッチは木製です。
蛇腹の表面は黒にCastagnariの頭文字Cをイメージした
金色のデザインが施されています。
どことなく和の印象も感じるデザインですね。


寄木の象嵌細工による装飾と木彫りのメーカーロゴです。
木という素材に拘っています。


象嵌細工は上下面にもあります。
表に見える部品にオリジナルを多用しているのも特徴です。
イタリアなどヨーロッパのメーカーでは金具類や蛇腹留めなどの
パーツを共通の部品で作っている場合が殆どで、
細かい部分を見ると同じ物になっています。
それは小物部品はイタリアの専門メーカーがそれだけを作っていて、
それをアコーディオンメーカーが買って使うからです。
コストダウンにとても有効な方法ですが、
どれも同じになってしまう面があります。
カスタニャーリではオリジナルの蛇腹留めやベルト金具などを用いて
全体として他と同じにならないデザインとしています。


蛇腹も単純な黒と赤ではなく、内側の赤い布には
オリジナルの柄が入った物を使っています。


これは背面にある右手の音色切り替えスイッチですが、
この部分にも拘りが見えます。
レバーのトップは木製で3つそれぞれに色を変えています。
スイッチ根元の木製カバーにも切り抜きの細工があります。
表から見えない部分も手抜き無しです。

このスイッチ(レジスター)は上下に振れて5種類の音を
切り替えます。(真ん中のレバーは上下同じMMLです)
背面にレジスターがあるので楽器全体のデザインとしては
フレンチタイプのボタン式となっています。


ベースの底部になる部分です。
ここには透かし彫りとメーカーのマーク、創業年があります。
4箇所にある脚はオリジナルの金具です。
殆どのヨーロッパの楽器ではイタリア製の脚部品でできているので、
数種類の共通したデザインになっている箇所です。

手を通すバンド(ベースストラップ)もオリジナル。
薄茶色の革にオレンジのコーデュロイが付いています。
これは蛇腹留めと共通デザインです。


楽器の内部です。
これはボディーの断面です。
チェリーウッドの無垢材ですので、合板の様な縞模様がありません。
表に見えている面は素材の木目そのものになっています。


リードを取り付けている木枠にはオリジナルのスタンプがあり、
木枠自体に塗装をしていません。
軽量化と独自の音に繋がっているのかも知れません。


リードは最上級とされるハンドメイドです。
楽器の外観はフレンチタイプですが、リードはロウ留めです。
ボディーの無垢材と相まって硬さと柔らかさの両方を感じる
独自のサウンドを得ています。


ベルトもオリジナルです。
ベルトはやはり共通のデザインで、薄茶の革にオレンジの
コーデュロイです。
ケースの内側は緑色のボア張り。


ケース自体はケースメーカーが作っている物ですが、
内張りやハンドル部品、表の金属製のマークなどオリジナルの
部分を持つ物です。

これだけの拘りを持った製品ですので仕様に対して少し高価です。
ですが、独自の外観や音による楽器として、モノとしての
所有する喜びをもたらしてくれる、価格以上の価値のある
素晴らしい楽器です。
長く使っても飽きがこなくて、不要になっても売却できる事を
考えると高い買い物ではないと思います。
在庫している時はいつでも試奏できますのでご興味ある方は
是非、ご来店いただいて実物を見てみてください。
勿論、ご購入の際は調律をお好みに調整し直し、
保証を付けてお渡しとしています。