両面テープの劣化2022/02/16

ネットオークションで購入したという比較的新しいアコーディオンの調整、調律を行っています。
既に作業は完了し、楽器の機能部分は問題なしとなりました。




このメーカーは楽器に貼ってあるエンブレムなどの両面テープが10~20年で劣化する問題が分かっています。依頼人からの希望もあり貼ってあるエンブレム類の両面テープを改める事になりました。
一番大きくて目立つ位置にあるメーカー名の部分ですが、普通に付いていて問題ないように見える状態でした。ですが、ちょっと力を入れて剥がすと簡単にポロリと取れました。予想通りです。

両面テープの劣化と言っても劣化するのは基材の発泡ウレタンの部分で、粘着材はしっかりしています。エンブレム側と本体側の粘着層は残ったままで中間のスポンジ部分が破壊してはがれます。



粘着層がしっかりと本体とエンブレム裏に残っていますが、貼り直しをする為に残った粘着物や劣化スポンジを綺麗に取り去る必要があります。これが結構大変な作業ですが、なんとか除去できました。

除去すると少し盛り上がった感じでテープの跡が残ります。これは本体表面に張ってあるセルロイド表層と両面テープの粘着材が反応した結果ですが、素材そのものが変化しているので取り去る事はできません。跡が残りますが再度エンブレムを貼って隠れるので問題はありません。



この楽器には他にも同様の両面テープで幾つかのプレートが貼ってあるので全て剥がし、残った粘着材を除去して新しいテープで貼りなおします。
これはグリルカバーのエンブレムです。やはり簡単に剥がせました。



ベースレジスターの横にも一つ。これは機種名が書いてあるプレート。やはり簡単に取れます。このサイズだと知らないうちに取れて紛失する事もあるので事前に剥がして貼り直す予防が得策です。



最後に楽器裏面のメーカー名、所在地など書いたプレート。こちらは演奏時に体に当たるため既に一度取れたらしく、接着修理がされていました。合成ゴム系の接着剤で貼られ、プレートから少しはみ出ていて見栄えに影響していました。剥がしてみると両面テープの跡以外に接着剤の跡が残っています。



残った部分を苦労して除去しましたが、テープと反応して盛り上がった部分以外に接着剤の溶剤と反応して凹んだ跡が残りました。今回はギリギリ、プレートで隠せる範囲でしたが広範囲になってしまうと隠せなくなります。楽器表面の傷みも出ますので接着修理する事はお勧めしません。

後は貼り直したエンブレム表面を研磨して擦り傷を取って、持ち主へお返しするだけです。

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