コンサーティーナの調律2022/09/23

コンサーティーナの調律を承りました。


コンサーティーナ専用のリードを用いた本格的な物ですが
そんなに古い物ではなさそうです。
右手側のリードですが、長さがある程度あるリードバルブは反りが大きく出ています。



リードバルブの取り付けにズレがあって下の穴が出ている所があります。
修正のために貼り直しが必要です。

リード付近には数字が書いてありますがボタンとの対応を示しているようです。
恐らく、製造時には書かれていなかったと思いますので、
後にメンテナンス時に作業者が書いたのでしょう。
文字の筆跡がヨーロッパ的ではないので日本人によるものでしょうか?



緑色の丸いシールが剥がれかけているところがあります。
このシールが何の為にあるのか分かりませんでしたが
観察してみると、リードを留めているネジの先端の穴を塞いでいるようです。
何となく、これも最初は無かったもののような気がします。

リードの調整は全体に隙間が狭すぎる印象です。
強い音の時に発音が悪くなりますし、過度に狭いと弱い音でも発音が悪くなります。



リードバルブの取り付けに微妙な問題がある箇所が幾つかあります。
これはバルブの先端が隣のリードに触れそうになっている箇所です。
一旦外して貼り直す必要があります。



こちらのリードバルブは先端のスペースがとても狭くなっています。
ギリギリケースと接触はしていないので大きな問題にはなっていません。



リードバルブ先端のスペースに余裕がないところをめくってみると、
下の穴に対して必要以上にバルブが長いことが分りました。
これでも音は出ますが発音が弱くなるでしょう。



リードに錆が出ている所もありました。
古い楽器ではないので錆のあるリードは少数でした。



左手側のリードですが、右手側より低音なのでリードが長くなります。
なのでリードバルブも長くなり、右手より反りが出ている箇所が多いです。



同じく左手側のリードですが、面白いことに気付きました。
こちら側の面はリードバルブの反りが殆どありません。
右手側を改めて観察すると同じように片面のバルブの反りが大きい事が分りました。
また、右と左では反りが出ている面が反対になっている事も分りました。
右手側はボタンが付いている面と反対側の反りが激しく、
左手側はボタンが付いている面の方の反りが激しいという状態です。

ちょっと考えて理由が分りました。
これは楽器を保管している時の姿勢がいつも同じで、
右手のボタンを上にして楽器を立てて保管していると推測できます。
ソフトケースの形状がそのようにさせているとも言えます。
いつも右手側のボタンが上になるように立てて保管していると
下になる面だけ重力によりリードバルブが垂れ下がるということです。
コンサーティーナの場合、ボタンが左右になるように横向きで保管すると
重力によるリードバルブの反りは抑えられるでしょう。
アコーディオンでもこの事は意識して保管姿勢を考える必要があります。

リードバルブは薄い茶色の物と濃い赤色の物が混在していますが
恐らく、オリジナルは薄い茶色の物で、赤い方は後に交換された物と思います。
赤い方は少し薄すぎる印象ですが、今回は修正してこのまま使う事にします。



左手側のリードも隙間が少な過ぎる感じです。
全てのリードは適正な状態に修正してから調律を行いますので
調律後は発音状態が改善すると思います。