バンドネオン調律完了2022/01/10

昨年末にお預かりしたバンドネオンの調律が完了しました。




調律後、実際に鳴らして最終チェックを行うと、1つのボタンで異常が見つかりました。
矢印部分のボタンを少し強めに押すと別の音が重なるという症状です。
この場合、ボタン機構の干渉かバルブより後の部分での空気漏れが
原因と予想されます。



取り敢えずカバーを外した状態でボタンを押して観察する事に。
するとボタンの機構で干渉が見つかりました。
ボタンを押すとボタンの下の端(赤矢印)の所で黄色矢印のボタンから
延長されている木製アームの端がぶつかっていました。
ボタンを強めに押すとボタンの下の部分でアームの端を押していたのです。
原因が分かれば修理は簡単ですが原因がすぐに分からない事も多いです。
楽器の修理は修理時間だけで費用換算されると厳しいものがあります。



幾つかの不具合の修理と調律を完了し後は発送するだけです。
ところでこのバンドネオンですが、見た目は普通ですが実はクロマチック配列です。
ボタン式アコーディオンが演奏できる場合、少し曲を弾く事ができます。
通常バンドネオンの最終チェックは単純に音を鳴らして行くだけですが、
この楽器では簡単な曲を弾くこともできます。

アコーディオンの最終チェックでは必ず曲を演奏するようにしています。
バンドネオンでも少し弾けるというのはちょっと嬉しい体験です。
こういう物がもっと普及しても良さそうなのですが実際のところどうなんでしょうか?


2021最終日2021/12/26


クリスマスも終わり店の飾りを外しました。
また来年..


先日お預かりしたバンドネオンのリード周りの調整が完了しました。
後は調律を行えば本調子になる筈です。



調律の前にもうひと仕事。
固着して分解が大変だったパッキンシールを張り替えます。


右は剥がしたパッキンシールで左は新しい物です。
厚さが全然違います。
変形して気密を得るので薄くなるのは普通のことですが
今回は表面に粘着物が出ていたので交換が必須でした。


少し早いですが今年の営業はこれで最終です。
今年も1年、多くの方にご来店いただき誠にありがとうございました。
まだコロナの行方が気がかりですが来年も変わらずに
営業させていただく予定です。

バンドネオンの調律2021/12/05

バンドネオンの整備のご依頼を頂きました。

最初に楽器を分解する時ですが、ネジを抜いても蛇腹部分と両側面の
機構とリードが載った部分を分離できずに苦労しました。
工具を差し込んでこじったりすると傷になるのでその方法は使えません。
なんとか分割しましたが合わせ目に入っているパッキンシールが劣化して
固着していました。
しっかりと固着していたので分解前のテストでの空気漏れは殆どなく、
今までみたバンドネオンの中では一番という感じでしたが、
一旦分解したらこのパッキンは使えないので貼り替えます。
見た目も薄くてペッタンコという感じですね。


右手側のリードですがとても良い状態です。
リードの錆もなく、リードバルブも大きな問題は無さそうです。


左手側ですが、こちらも良い状態です。
一部、蛇腹に巻き込まれて大きく反ったリードバルブがあるのと、
多分、右手側のリードバルブが1枚剥がれて落ちている程度で大きな問題はありません。
楽器が古い物ではないので状況から判断し、全体の調律だけで済みそうです。


リードプレートを外してみると亜鉛プレートの表面に酸化物が出ている事がわかりました。
特に木枠と接している内側の面は酷いです。
表面をマイナスドライバーで削ってみると粉が沢山出てきます。
幸い、今年修理したバンドネオンのようにリードに酸化物が干渉して
音に異常が出ている事はないので内面の革パッキンと接する部分だけ
除去すれば問題なさそうです。


酸化物を削るとプレート1枚の片面でこの程度の粉が出ます。


左手側の大きなプレートも同様でした。
これはちょっと大変そうです。
リードやリードバルブはとても良い状態です。

バンドネオンの調律2021/09/12

バンドネオンの調律を承りました。
何故か今年はバンドネオンの調律のご依頼が多いです。


オークションで購入されたという楽器ですが
最近見た物の中では新しくて状態が良さそうです。


ブラジル製のようです。
ブラジルでもバンドネオンを作っているのでしょうか?



中を見るととても綺麗でリードバルブの反りも殆どありません。


極一部のリードバルブに反りがありますが
殆どのバンドネオンに見られるような劣化したリードバルブが付いている
ような事はありません。
樹脂製というのも大きいでしょう。
持ち込まれるバンドネオンの殆どは革製で経年劣化で酷く反っている事が多いです。
そのような場合はリードバルブの交換が必要となります。


リードの内側も問題ありません。
リードプレートと革パッキンが接触する部分で革パッキンと金属が
反応して癒着気味ですが問題が出る程では無さそうです。
そして、このバンドネオンのリードプレートはアルミニウムでした。
一般的なバンドネオンでは亜鉛が多いです。
亜鉛のリードプレートで各音が独立していないで1枚に並んでいる事が
バンドネオン独特の音を得る要素の一つですが、
アルミニウムなので音への影響はあると思います。
聴いた感じでは悪い印象はありませんでした。
楽器が軽量になるというメリットはあります。


リードの錆は殆どありませんが一部のリードでは錆が確認されました。
バンドネオンのリードやドイツ製のアコーディオンは
イタリア製のリードより錆が出やすい印象があります。
統計を取ったわけではありませんが、経験的にそう思います。


とても古くなりので蛇腹の状態も良く、空気漏れは少ないです。
という訳で、標準的な調律作業で済みそうです。
バンドネオンは古い物が多いので調律だけで済む場合が少ないです。


バンドネオン ボタン修理2021/08/20

今年はバンドネオンの修理のご依頼が多いです。
新たに修理のご依頼を頂きました。


ご覧のようにボタンが取れてしまったという不具合です。
バンドネオンのボタンは木製のアームに直に貼ってある部分と
バネを介してアームに接続されているボタンがありますが、
今回はバネで繋がっているボタンでした。


内部の点検も行いました。
分解前に音を確認してそれなりに調律の狂いが出ていたので予想はしていましたが、
リードに貼ってあるリードバルブは反りが激しく出ている状態です。
この状態では調律の狂いが出ると共に、蛇腹の切り返し時や弱い音で鳴らした時に
雑音を伴います。


内側のリードバルブも同様に反りが出ています。
バルブは古くないので修正して全体の調律を行えばよい状態になりますが、
今回は調律は見送りという事になりました。


空気漏れもそれなりにあります。
原因は色々ありますが、蛇腹の角部分に穴が空いている箇所が幾つか見つかったので
この部分は修理する事になりました。


外れたボタンが繋がっている部分です。
右にあるボタンのように本来はバネを介してアームと繋がっています。
該当箇所はバネが折れてボタンが取れたの台座の部分だけ残っています。


ボタン側の方に残ったバネを取り除きました。
引っ張って取り除くしかありませんので引っ張ったらバネが伸びました。
何れにしても再使用はできないのでバネを交換します。


同じ部品は無いのでバネを自作する事にしました。
自作したバネを適当な長さに切って元通りにボタンを収めて完了です。