不具合色々2011/09/05

プロ奏者の方から調律を承りました。
調律を行う過程でリード周辺の色々な不具合が見つかりました。
リードを固定しているロウが割れています。
ロウの付け方が綺麗ではないので以前に修理した時の仕上げに原因があると思います。
古い楽器でロウが劣化して割れたり、衝撃でロウが割れた時はこのような広い隙間は
できず、細いヒビが入るだけですので。

サブタ皮を押えているバネの取り付けが酷くズレています。
内側のサブタなので飛び出したバネの先端が木枠の内側に触れそうです。
これは製造時からのものでしょう。

これはリードの木枠からリードを外したところですが、驚く事が..
この箇所だけ調律中に音程が定まらないのでおかしいと思い、リードを外してみました。
すると、木枠の対向するリードを隔てている壁に穴が空いている事が分かりました。

対向する反対のリードも外してみると光が抜けて穴が空いているのが分かります。
どうしてこんな事になっているのか不思議ですが、
反対側のリードを付けているロウの仕上げが綺麗では無かったので
何かの為に意図的に行われた可能性もあります。
恐らく製造後、日本で行われた処置でしょう。
Lリードの最低音の部分なので、大きく振れるリードが木枠の壁に当たる為、
壁を削って行ったら反対側まで突き抜けてしまったという事かも知れません。
壁の反対側はそちらのリードの為に深く彫ってあるので、知らずに反対から削ると
ちょっとの事でも貫通します。
後で削った所は深く彫っていない面ですし、そちらの方のロウに剥がした跡がある事から
そんな気がします。

サブタ皮の接着剤が隣のリードの可動部分にまで達しています。
これではリードの動きが悪くなりますし、調律も不安定です。
これは製造時からのものでしょう。
後に行ったと思われる調律の痕は酷いものです。

稀にTVでも見る事があるほどのプロ奏者の楽器ですが、
製造時のエラーは仕方ないとしても、日本で行われた処置については
業者がやったとは思えないような部分も見られました。