バンドネオンの修理2022/12/25

バンドネオンの修理、調律を承りました。


バンドネオンの修理を頂く時はとても古い物の事がありますが
この楽器はとても古いという感じはありません。
調律の狂い、発音不良、空気漏れ、ボタンの動作不良などがあります。


何となく見た目が普通の感じがしないと思った方は正解です。
この楽器、クロマチック式です。
私は初めて実物を見ました。
蛇腹の開閉で同音が鳴り、ボタンの並びは音階順になっています。
ですが、何故か右手と左手で配列が同じになっていません。
右は鍵盤に似た感じで、左はボタン式アコーディオンのような感じ。

本式のバンドネオンとは若干違っていますが、
イタリアCooperfisaでもクロマチックバンドネオンがあります。
ボタン式アコーディオンのようなタイプと、
鍵盤式アコーディオンのようなタイプがあります。


とても古くはないとは言え、それなりに古い物ですので
革製のリードバルブは硬化と反りが出ています。
これは全て新しいものと交換する時期に来ています。
発音不良や発音時のノイズの原因になっています。


リードには錆が出ています。
調律の狂いや発音不良の原因でしょう。


右手側のリードを全て外しました。


こうして見ると、錆はかなりのリードで発生しています。
全て除去して調律を行う必要があります。


本体の外観部分に問題が出ています。
装飾などに使われている樹脂部品が剥がれてきています。
接着修理が必要です。


外装部分は接着修理がされている箇所もあります。
恐らく以前のユーザーによるものと思いますが
全くうまくできていない状態です。
こうなってしまうと綺麗に修理する事が難しくなってきます。


ボタンやバルブのアクションは見た目は悪くありません。


ボタンの一部で押した場合に他のボタンの部品に
干渉している所があります。
また、カバーの穴と干渉している所もあります。
ボタンの作動不良の原因となっています。


リードバルブを全て剥がしました。


リードの錆の除去とリードバルブの接着剤の跡を除去します。
1枚のプレートだけでもかなり時間が掛かります。
この後、リードの調整を行います。


最後に新しいリードバルブを取り付けて完了です。


左手側も同様にリードバルブの劣化があります。


左側リードを全て外しました。


左側も革の劣化と錆があります。


特にリードの裏面の錆が酷いです。


古い接着剤の除去、錆の除去、リードの調整、
リードバルブの貼り付けを行い、左側も完了です。
書いたら2行ですが、とても時間が掛かります。


リードの調整が完了したら後は調律です。
これもアコーディオンのように早く進める事はできません。


空気漏れの原因の一つは、空気バルブの戻り不良でした。
バルブの戻り不良の原因は、バルブを引き上げるレバーに
繋がっている本体を貫通する針金状のパーツの先端が
波打っているからです。
小さな穴で本体を貫通しているので、曲がりがあると
動きが悪くなり、バルブもきちんと閉じなくなります。


蛇腹の合わせ目にあるパッキンシールも空気漏れの原因です。
新しいものと貼り替えします。


全ての作業を完了し、きちんと鳴るようになりました。
ここまでかなりの時間を使いました。
手前の袋に入っているのは交換して外した革の部品です。

バンドネオンは整備が完了しても、演奏が難しくて
自分で曲を弾いてチェックができません。
クロマチックならちょっとはできるか?と思いましたが
やはり難しいです。
ダイアトニックよりはちょっとマシですが..


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