スイッチの修理2023/07/01

赤いEXCELSIORの修理を承りました。

文字の形からかなり古い物ではないかと思います。
外観では不具合は全く分かりません。


今回の不具合は右手側のレジスターのスイッチです。
少し以前にも修理しましたが、その時は短時間の修理にとどめて様子をみて、
再発するようであれば本格的に手を入れるという事になりましたが、
力が掛かる部分なので再発しました。


レジスターを分解してスイッチを取り出しました。


スイッチのトップ部分は樹脂で、その下に木があり、その下は再度樹脂部品がきます。
問題があるのは最下層の部品で、スイッチ動作をシャッター機構に伝える重要な部分です。
この部分にはスイッチ操作で前後する金属製の小さなレバーがありますが、
樹脂の中に埋め込まれている感じの作りになっています。
この部分が弱く、ご覧のように樹脂部分が割れてレバーの動作に問題が出ます。


付いているスイッチの殆どで同様の不具合が起きています。
殆どの楽器は、この部分が金属の板を成型した1体部品になっているので
折れたり、割れたりという事は殆どありません。
最近はありませんが、以前の楽器では、このような樹脂の鋳ぐるみでできている物があり、
時々問題になります。
中には全て樹脂という物もありました。
スイッチは演奏中に短時間で操作する事もあり、大きな力が掛かるので
長年の使用で割れてしまう事があります。


全てのスイッチを修理してレジスターを組み戻しました。
難しいのは、この部分は隙間が少なく、スペースを多く取る修理方法ができない事です。
切り替えの力に耐える為には大きな部材で補強したいのですが、
大きな物を付け加えると機構に触れて動作に問題が出てしまいます。
狭いスペースで耐久性のある修理方法で行わなければなりません。
この辺りは、機種ごとに状況をみて修理方法を都度、考えて行くしかありません。
今回の修理もできるだけの事をしましたが、場所の制限もあるので
長持ちするかどうかは不明なところがあります。
同じ部品が手に入れば良いのですが、長く作られているモデルでは
見た目が同じように見えても部品の形状が違っている事もありますし、
元より、現在は補修部品も作られていません。


修理ついでに内部点検を行いました。
これは右側のリードですが、リードバルブがかなり反っています。


ベースリードの方は、リードバルブが反って蛇腹に巻き込まれています。
こうなると調律が大きくずれるので、全体の調律を行う時期に来ています。
調律の提案をさせていただきましたが、今回は見送る事になりました。