バンドネオン修理 ― 2023/09/30
先日もバンドネオンの修理、調律を行ったところですが、
新たにバンドネオンの修理を承りました。
今回の修理は、ボタン操作で開閉するバルブとボタンとバルブを繋ぐ
アームの接点の接着剤の劣化?でバルブとアームが分離するので
接着を全てやり直す方が良いですか?という内容です。
楽器が届いて点検してみると驚く事が分かりました。
一部のバルブは大量の接着剤で本体の板とくっついていて
ボタンを押してもボタンが押せず、バルブも開きません。
そういう所が幾つもあります。
接着されているバルブの拡大画像です。
隣のバルブも一緒に接着されている所もあります。
当初の問い合わせ通り、バルブとアームの接点が取れている所もあります。
このバルブもアームとの接点が分離しています。
分離している所は接着すれば解決します。
問題はバルブが接着されている所です。
バルブ自体を接着した感じではなく、バルブの上から接着剤を
流したという感じに見えます。
恐らくですが、アームとバルブの接点を接着しようとしたら
接着剤が大量に出てしまい、不要な所まで流れた..という感じでしょうか?
そうだとしても、何か所もなっているのは不可解ですが、
このままでは使えないので直すしかありません。
問題個所を修理する為のスペースを確保する為に
左右のバルブをボタンごと取り外し、接着されているバルブを剥がしました。
接着剤は思ったほど染み込んでいないので意外と簡単に取れました。
しかし、このままではバルブの当たる面が平らではないので
接着剤を取り除き、面を平らにする必要があります。
作業スペースが狭いので苦労しましたが、接着剤を除去できました。
これは別のボタンで同じような事態になっている所です。
こちらも修理が必要ですが、ボタンの下になっている所なので、
まずは上に載っているボタンを外します。
ボタンの下にあるストッパーの部品も邪魔なので外しました。
これでやっと問題個所に手が入れられます。
この部分は接着剤が広範囲に広がっているので、
バルブ3つ分はりついています。
バルブがはりついた状態でボタンを操作したのだと思いますが、
アームとバルブは分離されています。
或いは、これを修理する為にこのような事態になったのか..
まずは接着剤の影響が少ない左右のバルブを剥がしました。
残ったバルブも外しましたが、接着剤がかなりの量載っています。
接着剤が流れて問題になっている所から全ての接着剤を取り除きました。
あとはバルブを戻せば直ります。
バルブとアームが分離しているので、この部分も修理しながら戻します。
接着されていないバルブで位置のズレが大きくて
空気漏れしている所があるので修理します。
バルブ問題は解決しましたが、ボタンが取れている所の修理が1つあります。
取れたボタンを見ると、バネで繋がっているボタンで、
バネ部分が切れた為に外れたようです。
バネをよく見ると、太さが均一ではないので
オリジナルの部品ではなく、手製のバネで修理したという感じです。
切れたバネを取り外すと、その奥には錆びたバネの残骸が出てきました。
オリジナルは錆びて切れてしまい、手製のバネで修理したという事でしょう。
古いバネや接着剤を取り除き、他のボタンのバネと同じ位の線形と
バネの太さでバネを作成し、ボタンを取り付けて修理完了です。
取り敢えず、楽器の音は出るようになりましたが、
調律の狂いが大きく、雑音も出ています。
内部を見るとリードバルブは大きく反っていて
交換時期になっています。
左手側のリードもこの通りです。
全てのリードバルブを交換した後に調律を行う必要があります。
何故か、バンドネオンはこのような状態の物ばかり見ます。
製造年が古いという事もありますが、リードバルブの反りはあまり
気にしないのでしょうか?
取り敢えず、楽器が鳴るようになった状態を見てもらってから
調律の判断をしていただく為に一旦お返ししました。
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