フリーベースの修理 鍵盤側編2013/06/28

強い衝撃により各部に不具合が出ているフリーベースアコーディオンの修理を行っています。
脱落したベースリードの修理、ベースメカニックの修理に続いて鍵盤側の
不具合についての修理を行いました。
http://accordion.asablo.jp/blog/2013/06/24/7066391
http://accordion.asablo.jp/blog/2013/06/24/7102853


バラバラに落ちたリードを修理したところで、ベース側から大量の空気漏れが
ある事が分かり、ベースの修理を完了すると今度は右手側から空気漏れが
ある事が分かりました。
空気漏れしている場所は多数あるバルブ以外に本体の周囲からです。
例えば、上の写真の木とアルミニウムの板の間にある僅かな隙間です。
本来、平面である筈のアルミニウム板が盛り上がる様に変形しています。
この部分が変形すると平面を保てないのでバルブの当たりが悪くなります。


本体内部ですが、アルミニウム部分と木の直角に交わる部分に割れがあります。


こちらも本体内部ですが、セルロイドが貼ってある一番外にある木のケースと
内側にある木の部材との合わせ目が開いています。


この楽器は、あごスイッチが5つも付いていますが、その為、
本体の裏側に複雑な機構が設けられています。
この機構にも歪がでており、スイッチ操作がうまくできなくなっていますので、
こちらの修復も行う必要があります。


歪が出て平面が保てなくなったバルブの当たり面のアルミニウム板を外見上、
平面になる様に修復してみましたが、タブルチャンバーのバルブは
絶妙なバランスで調整されているため、空気漏れを完全に防ぐ事はできませんでした。
仕方がありませんので、バルブ82個全ての当たりを再調整する事に..



本体の歪のせいか、元からの製造不具合か分かりませんが、
バルブの位置そのものがズレている箇所もありました。


そして、右手側の空気漏れを全て修理してようやく、
この楽器全体としての空気漏れを止めることができました。
大変長い時間を要しましたが、フリーベースの完全オーバーホールの
経験もできましたし、この様な究極スペックの楽器の修復ができた事は
良い勉強になりました。


同じ様なフリーベース機のベース側の空気漏れがある楽器がもう一つ修理を待っています。
http://accordion.asablo.jp/blog/2013/06/22/7064407


続いてこちらの楽器も同じようにベース部分の分解とバルブの当たり修正を行いましたが、
なんと、この2台は殆ど同じ設計でした。
ドイツとイタリアの有名ブランドですが、恐らくイタリアの同じ工房で作られたのだと思います。
そんな訳で最初にフリーベースを分解した経験がそのまま活かされ、初回よりずっと
自信を持って作業ができました。
とは言っても、超複雑なフリーベースの分解調整はとても大変でした。
こちらの楽器はボタンの頭が大きくないので取り外しが無い分だけ楽でしたが。
フリーベース3台続きの修理、完了です!