整備済み2013/12/02

整備済みの中古を購入したという方からの修理を承りました。

整備済みという事だけあってリードを留めているロウが一旦、
外された後に再取り付けされた跡があります。
恐らくリードの内側のリードバルブを修正する為でしょう。
ですが、取り付けのロウの仕上げがよくありません。

場所によっては隙間ができています。


これもあまり良い仕上げとは言えません。
リードの固定が甘いときちんとした発音ができませんので、
楽器の能力が低くなります。

ベースリードも同様な状況です。

元々、リードを固定しているロウに劣化があったのでしょう。
それをカバーする為に新しくロウを上から乗せた部分が
明るい色のロウになっています。
よく見るとリードの先端の面は隙間が空いていて補修が
確実になっていません。

リードの錆が出ている箇所もあります。


オリジナルは樹脂のリードバルブが使われている楽器ですが、
部分的に補修されていました。
交換されていたリードバルブの裏面には、なんと地図が書いてあります!
(多分、アフガニスタン)
何かの薄い樹脂シートを流用した様です。

こちらのベースリードにはモザンビークが..

結局、地図柄のリードバルブは2枚だけでした。
どうせなら全て集めたら世界地図ができると面白かったのですが..
他にも無地ですが同じ素材の物が幾つか見つかりました。
これらは元々の物より硬くて開きが悪い為、本来の音が出ないでしょう。
貼り付けは両面テープでしたが、これも問題があります。

鍵盤の下部にあるフェルトが浮いています。


よく見ると緑色のフェルトの上に黒いフェルトが貼り合わせてあります。

更にフェルトの下には灰色のボロボロになった「らくがん」の様な
物体があり、割れた粉末が飛散していました。

フェルトを外したところです。
鍵盤下のボロボロの物は恐らく、楽器作成時に取り付けられた
スポンジの様な素材と思います。
劣化でボロボロになってしまったのでしょう。

鍵盤は鍵盤の先にあるバルブのフェルトや皮が古くなると縮むので
鍵盤が高く上がってきます。
それを修理するには本来、バルブのフェルトや皮を新しくする
必要がありますが、手間がかかるのと相当の技術が必要となります。
その為、浮いた鍵盤の深さを浅くする目的で鍵盤下にフェルトが貼られる
応急修理が行われている場合が時々あります。
これは正規の修理方法ではありません。

という事で、この楽器は明らかに素人が修理した物です。
整備済みの中古と言っても色々な物が出回っています。
安くても本来の性能が出ていなかったり、後に費用がかかるのでは
かえって無駄な時間と費用を使う事になるでしょう。